hiro's football report

国内外、カテゴリー問わなずサッカーのマッチレポート風なものを掲載

【2021 J1 第32節】横浜F・マリノス vs コンサドーレ札幌

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スタメン

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横浜F・マリノス

  • 前節から3人の先発メンバーを変更
  • 前節復帰していた和田がメンバー外

コンサドーレ札幌

  • 前節から3人の先発メンバーを変更
  • チャナティップと福森が負傷から復帰
  • 深井、宮澤、岡村が負傷離脱によりメンバー外

2つの勝負ルート

 マリノスはこの試合に向けて、2つの勝負ルートを用意していました。それぞれ見ていきましょう。

サイドからのルート

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  • 最前線も同数なので、札幌守備陣の背後を狙う
  • こちらのウイングと相手のセンターバックヨーイドンをしたい
  • なのでサイドバックは長いボールを正確に蹴れる選手を起用

 まずはサイドからのルート。相手はマンツーマンで守ってくるので、マリノスから見た最前線も同数になる。なので後ろから繋がず、一気に勝負すればいい。これはいつも狙っている形なので、札幌相手にはお馴染みだと思います。

 これを実現させるためには、長いパスを正確に出せるサイドバックと、スピードのあるウイングが必要になります。ケヴィン体制になってからファーストチョイスだった小池と和田をベンチに置き、松原とティーラトンを先発にした理由の1つがこれでしょう。エウベルでなく仲川が先発だったのも、スピードを優先したからだと思います。

  • 強い力で蹴る必要がある
  • モーションが大きくなるので、蹴るまでに時間がかかる
  • そのため、パスの出し手にスペース時間が必要
  • 当然、前を向いていることも必須

 パスの出し手はサイドバックです。なので、松原とティーラトンに前を向いた状態で、スペースと時間を提供したい。札幌のマンツーマン相手に、それをどこまでやれるのか。これがポイントでした。

 守備から攻撃へ切り替わったとき、札幌がマークにつききれていない状況からはできていたと思います。セットプレーのリスタートを含め、トランジションで上回っていました。しかし相手につかれてからは、中々うまくいっていなかった印象です。

 後述するレオのポストがなくなってからは、サイドバックが組み立ての一部になることも。パスを出すべき彼らが高い位置に出たり、中央に入ったりして相手を動かす。こうなると、元々狙っていたサイドからの長いパスが出せません。どうやってパスを出す状況を作るか。そこに悩んでいたように見えました。

中央へのルート

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  • マンツーマンを利用して中央を空ける
  • ウイングが斜めに走り込んで中央突破を狙う

 もう1つが中央へのルートです。この試合、特に前半飲水タイム前まではレオが頻繁に下りていました。高嶺がマンツーマンでついてくれば中央が空きますし、こなければレオがフリーでボールを受けられます。

 大然や仲川が中央に向かって走ることがよくありましたが、その理由はこれでしょう。こういった9番的な役割をさせたかったことも、エウベルを外した目的の1つだと思います。

 また、下りたレオをきっかけに前進することもできていました。前述した松原やティーラトンへ、前を向いてボールをつけるきっかけにもなっていました。

 特に19分のプレーは、この2つのルートを活かせた場面でした。松原から仲川へサイドの裏へ長いボールが出る。仲川が下りたレオに落とし、空いた中央に大然が走る。レオのボールは高嶺にカットされてしまいましたが、マリノスの狙いがほぼ完璧に表れていたと思います。

マンツーマン合戦

うまくいかなかった前半の守備

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  • マリノスは人を捕まえる守備をしている
  • 札幌の布陣に合わせると、自然に前後で分断される
  • ライン間に通されると、相手にスペースと時間を与えることに

 攻撃はある程度うまくいっていましたが、守備はイマイチでした。選手や監督が口々に「前半は良くなかった」と言うのは、これが理由だと思います。

 ケヴィンになってから、マリノス高い位置から人を捕まえる守備を行っています。しっかりセットされた札幌の陣形に合わせると、前後に人が分かれる形に。

 ボールを奪えればいいのですが、そうでないとライン間のスペースを利用されてしまいます。そこに下りた選手へ縦パスをつける。サイドチェンジしたときに大きな空間と時間を作れる。札幌の選手たちはこういったメリットを享受できます。これは札幌が前節戦ったガンバの守り方に似てると感じました。

人によって改善した後半の守備

 前から人を捕まえにいくが、抜かれたとき戻れずライン間のスペースを使われた。これが前半に守備がうまくいかなかった要因です。

 じゃあ後半から守り方を変えたのか。と言われると、そういうわけではありませんでした。前半と同じ守り方をしたのです。

  • 抜かれたとき素早く戻れれば、空いたスペースをカバーできる
  • なので、走力があって広く守れる選手を入れると問題解決に近付く
  • 岩田は扇原に比べてスピードがあり、あたりも強い
  • 喜田も広範囲をカバーできるので、このコンビが走りまくって何とかした
  • 単純に札幌選手のスタミナがなくなってきたことも大きい

 方法は同じなのになぜ改善したのか。主な理由は岩田ボランチ起用でしょう。

 前から捕まえて広いスペースが空くのなら、それをカバーできる守備ができればいい。そのためには、スピードとスタミナを兼備するボランチが必要。岩田は扇原よりスピードとフィジカルに優れています。喜田も同じ特徴を持つので、広範囲を動き回れる2人に何とかしてもらう。扇原がカードをもらっていたこともありますが、これが交代に至った主な理由でしょう。

 広く素早く動けるのは、攻撃だけでなく守備にも活きます。広島戦あたりから、縦に早い攻撃は人数不足になりがちと話していますが、岩田はこの解決策になり得るでしょう。というより、岩田がセンターバックに入ってから、この問題が顕在化したと思います。今後相手のフォワード次第では、實藤をセンターバックに入れ、岩田をボランチに上げることがあるかもしれません。

スタッツ

sofascore

www.sofascore.com

SPAIA

spaia.jp

Football LAB

www.football-lab.jp

ラッキングデータ

www.jleague.jp

所感

今季1ノーガードで戦った一戦

 札幌もマリノスもマンツーマン守備。しかも互いに縦に早い攻撃を行う。今季は札幌に対し、後半勝負なサッカーをしてきましたが、この試合は最初からフルスロットルでした。

 なので、先制点を与えたことはそこまで応えませんでした。このやり方でやっているリスクですし、得点が失点を上回ればいいという考えだったはず。個人的には全く嘆いていませんでした。

 オープンというより、大雑把な試合。互いにブロックを組んだ回数って、70分くらいまでなら片手で数えられるんじゃないですかね…そのくらいエンタメに富んだ試合でした。