hiro's football report

国内外、カテゴリー問わなずサッカーのマッチレポート風なものを掲載

【2021 J1 第6話】長男だから我慢できた

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忍耐強さを求めるボス

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ボス

さて、今日はみんなに我慢強さを求めようかと思う。去年はどんどん前に突っ込むやり方をしていたが、今回は相手のやり方を利用しよう

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喜田

相手のやり方というと、前から人を決めてアタックしてくることでしょうか?

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ボス

そう、それだ!相手はこちらに合わせてピッタリとついてくるはず。しかしあのやり方は最後までもつものではない。そんなことできる人間はいい意味で化け物だよ。

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ボス

なので、相手が疲れるまでこちらは勝負を仕掛けない。しばらくは落ち着いた展開を目指すんだ。相手が疲れてからが本番。足の動かないのを後目に一気呵成に攻めかかろう!

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扇原

ということなら、相手が疲れるまでこちらは引きこもってやり過ごすということですかね?

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ボス

違う!そんなのは自分たちのサッカーじゃない!!

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扇原

違った…!?しかも怒られた…

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ボス

失点のリスクを減らすだけで、得点の手を緩めるつもりはない。相手がピッタリつくことを利用し、自分たちの方へ引っ張っちゃおう。そして前線の選手たちは前に構える。するとどうなるだろう?

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小池

相手の選手たちが前と後ろでクッキリ分かれますね。そうか、自分たちについてくるということは、相手を誘導できということでもあるんですね。

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マルコス

間が空くってことは、俺の大好きな場所が増えるってことだよな。

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オナイウ

おっと、俺もそういうの得意だって忘れて貰っちゃ困るぜ。

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名前

そういういことだ。君たち2人の好きな場所が空くので、そこを使って攻撃してくれ。

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ボス

そこで受けるのも1対1になるはず。そう、漢同士のぶつかり合いだ!そこで勝てれば大チャンスになる。なるべく速く仕留めるんだ。

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松原

そうなると俺たちも上がって分厚い攻撃を仕掛ける感じですよね。

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ボス

いや、君たちの上がりは控えてほしい。相手のカウンターは厄介だ。なるべく不利な状況を作りたくない。

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小池

まぁ、確実に攻撃できそうなら顔を出してもいいでしょ。

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ボス

反撃は後半深い時間帯からだ。そのときになったら私からわかりやすい合図を送る。みんなそれまで落ち着いて試合を進めるように!!

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選手一同

はい!!

 相手が疲れるまで安全に試合を進め、疲弊したところを一気に狩る。脳筋っぽさ全開だったマリノスが狡猾になってきてますよ!ちょっとビックリですよね。さて、この作戦はうまくいくのでしょうか?

走り回る札幌の選手たち

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  • 下がるマリノス選手たちにつく札幌選手たちは長距離走ること
  • しかし前線の選手たちは動かないので、後ろは動けず
  • マルコスとオナイウの大好物ができあがる
  • 彼らがそこに下がるので、宮澤やミンテはめっちゃシャトルランさせられる
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畠中

さて、俺たちは後ろで回しますか。これで相手がどれだけくるか様子見かな。

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アゴ

おお!ほんとに食いついてくるんだな。俺らが低い位置だと相手は大変だろうな。

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駒井

いけー!俺らは相手にピッタリついていくんだ!各自担当を離すなよ。

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金子

こいつらめっちゃ下がるな。その分走る距離伸びてちょっとしんど…

 下がったマリノス相手についてきた札幌。ボスの予想通りですね。それならどんどん相手を引き込んじゃいましょう。

 ちょっと違和感を持ちつつ、チームのルールに従う札幌選手たち。長い距離を走り回るのは少ししんどそうですね。

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マルコス

おー、すげー。ほんとに間が割れたよ。ここは絶好のスポットだな。

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オナイウ

これなら俺も得意な位置でプレーできるな。どんどんボールを受けるぞー!

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宮澤

俺らのマーク相手やたら下りるな。まぁそれでもついてくけどさ。

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ミンテ

一番後ろの選手だけどこんな前に出るのか…俺らのシャトルランちょっとエグくない?

 マルコスとオナイウがめっちゃ下りるので、それについてく宮澤とミンテは大変。札幌選手たちの中でも屈指の距離シャトルランだったでしょう。ドレミファソラシドがトラウマになりそう…

 そんなこんなで前半が終了。マリノスが安全に試合を運ぶことに成功し、0-0のスコアで折り返します。さぁ、勝負の時間はいつになるのでしょうか。

焦らずに虎視眈々と

 予定通りに試合を運べたマリノス。しかし、後半早々コーナーキックから失点してしまいました。

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小池

やばいよ、やばいよ。先に失点しちゃった。すぐ点取って試合を振り出しにしないと…

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畠中

そんな感じで焦ってたのが今までの俺たちだが、今日は一味違うぜ!

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小池

ねー。今日は焦ることないのよ。だって反撃の機会は絶対くるってボス言ってたもん。焦れずにそのときを待つ。俺らも大人になったんだぜ。

 点を取られるとあたふた。焦って攻撃するも、陣形が崩れて失点を重ねる。あの頃は若かった…そう思えるほど、今のマリノスは大人に成長。ボスの言いつけを守り、虎視眈々と反撃の機会を伺います。

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ボス

よし、みんな慌てず堪えてくれてるな。こいつらも成長したな…と、しみじみしてる場合じゃないか。そろそろ相手も疲れてきただろう。

 後半70分ほどから札幌選手たちの足が止まり始めます。「ここだ!」ということで、ボスから合図が送られます。それは、選手交代によるメッセージです。

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松原

お、純くんをボランチに入れるんだ。てっきりマルコスの場所だと思ってた。これけっこう攻撃的よね。ということは‥‥いっちゃっていい感じですかね!

 「我慢する時間はここまでだ」そんなボスのメッセージが通じたようです。ここから一気呵成に攻め立てるマリノスの選手たち。この時間帯でも先手を取れる走力に脱帽です。札幌の選手たちはヒーヒー言うハメに…

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POINT

疲れた相手を後目に素早く動いて先手を取る

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駒井

あいつらまだ走れるのかよ…こっちはもう限界だって…

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チャナティップ

ひえー!もう攻撃するだけでいっぱいいっぱいだよ…

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小池

よし、ボール奪ったな。攻撃攻撃。ササーっと上がっちゃうよー!

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皓太

交代で入った俺はまだまだ元気。相手を置き去りにしちゃうもんね!

 疲れて戻れない札幌。まだまだこれからなマリノス。ここからが俺たちのショータイムだ!ようやく訪れたマリノスのターン。ここぞとばかりに攻め込み、勢いそのまま逆転!まさに狙い通りの試合でした。

 ボスからしたら計画通りといったところでしょう。だからこそ交代選手が活躍しましたし、ゴールのときあれだけ喜んでいたのだと思います。いやぁ、いい試合だった!大人の階段、ちょっと登りましたね!

【2021 J1 第10節】北海道コンサドーレ札幌 vs 横浜F・マリノス

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スタメン

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北海道コンサドーレ札幌

  • 前節から2人メンバーを変更
  • 前節出場停止だったキム・ミンテが先発に復帰
  • 負傷により長期離脱中だった荒野がメンバー入り

横浜F・マリノス

  • 前節から4人メンバーを変更
  • 怪我で離脱した仲川の箇所にエウベルが入り、逆は大然が務める
  • 負傷離脱していたティーラトンがメンバー入り

試合のポイント動画

我慢強く戦うマリノス

習性を利用した前進

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  • オールコートマンツーマンで対応
  • 左の菅だけ負担が大きい

 札幌の守備はお馴染みのマンツーマン対応。ボールを保持しようとする相手には前からプレスにいく特徴もいつも通りですよね。それぞれの担当はおよそ上図の通り。

 このやり方を利用した前進を見せたマリノス。後方に人数をかけてボールを回す。こちらの動きに相手もついてくるので前後に分断。空いたライン間に下りてきた選手目がけて縦パス。あるいは、背後のスペースへ飛び出した選手に長いボールをつけることも。

 オールコートマンツーなので、最前線も同数の状態。1対1に勝つことができれば、大きなチャンスに直結します。特に引いて受けるオナイウやマルコスがターンできると相手に脅威を与えやすかったでしょう。

 守備では遮二無二つっこむのではなく、きちんとブロックを作って構えます。こうすることで、相手を可変させる時間を与える。なぜそうするかというと、中盤が手薄になるため。ボールを奪ってそこを入口にカウンターを仕掛けることがしやすくなります。

攻撃での対応と狙い

低い位置に人数をかけて組み立てる。マンツーマンを利用して相手を前後分断させる

守備での対応と狙い

中央を使った素早い展開を阻害。時間を与えることで、相手を可変させて中盤を空洞化させる

 いずれも相手の中盤を空けるために取った行動。相手のやり方を利用して、こちらが攻めやすい盤面になるようコントロールしたかったのだと思います。

リスクをかけないマリノス

 マンツーマンでこちらのビルドアップを阻害してくる札幌。それに対し、マリノスの取っていた行動が以下になります。

  1. 最前線へ蹴っ飛ばすことはなるべく控える
  2. 高丘を積極的にビルドアップ参加させない
  3. 後方の選手の上がりを抑える

 「水沼ではなく大然を起用したので、相手がマンツーマンでくるのなら蹴っ飛ばして駆けっこでもいいいのでは?」と思っていました。しかし実際は、相手を引き付けて前後分断。空いた箇所に下りた選手へつけるという地上戦が展開されます。

 また、相手のマンツーマンはキーパーまで及ぶことは少なかったです。なので、高丘をビルドアップに参加させると相手のマークをずらしやすかったはず。しかし、それを積極的にはしませんでした。

 攻撃に関しても、前線に入ったらなるべく早く刺すことを目指し、後方の選手の上がりは自重気味。出足の速さで小池がちょこちょこ顔を出してた程度でした。

 いずれも試合をオープンなものにせず、コントロールしたかったことが狙いだったのでしょう。リスクを冒す時間はもっと後。まずは試合を落ち着いたものにしつつ、虎視眈々と得点を狙う形。前半0-0だったのはプランの範疇だったはず。得点することもそうですが、何より失点しないことが大事だったのです。

勝負のかけどころ

疲弊していく札幌

  • オールコートマンツーマンなので、相手に合わせて走ることになる
  • マリノスが自陣深くへ誘引するので、長い距離走る必要がある
  • 特に最前線の選手が下りるので、ミンテと宮澤は長距離シャトルランになる

 同じ距離を走った場合、自分が自由に動くより相手についていく方が疲れます。どちらに動くか集中しつつ、瞬発力を使いますからね。なので、マンツーマンってされる側よりする側の方が大変なことだと思ってます。個人の経験からもそういった感触がありますし。

 また、マリノスは自陣に誘引していました。相手が低い位置に行く分、札幌の選手は前に走ることになります。上下動する距離が長くなるので、疲労も増しますよね。特に最前線から下りるオナイウやマルコスに対応してたミンテや宮澤は大変だったでしょう。後半になって足をつったのが菅、福森、ミンテと、最後方の選手たちが多かったのは偶然ではないと思います。

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POINT

後半70分ごろから札幌選手たちの足が止まり始める

 飲水タイム明けの後半70分ごろから札幌選手たちの足が止まり始めます。攻守の切り替え時にこちらが先手を打てることが増えてくる。上図なんかは特徴的でした。

 相手の方が疲れやすい仕組みというのもありましたが、マリノス選手たちの走力が高かったこともあるでしょう。大然やエウベル、小池なんかは90分フルに走り続けてましたよね。さすが日本一走るチームの選手たちです。

仕掛けどころのスイッチを入れるボス

  1. 交代した天野をボランチへ入れる
  2. 皓太は喜田と代えて投入

 フルではもたないマルコスを代えるのはわかります。しかしそこに天野を入れるのではなく、彼をボランチへ。その後投入される皓太も喜田と交代します。ボランチが天野と皓太ってかなり攻撃的だと思いませんか?そう、マリノスこのタイミングで初めてリスクを冒した攻撃を始めたのです。

 相手が疲弊してスペースができること。それを利用するため、機動力があり先手を取れる選手交代と配置。この日の得点はそれがドンピシャにハマりました。そりゃあボスも喜びを爆発させますよ(笑)

今日は前半から難しい展開が続いていたので、相手をどうはがそうかと考えてプレーし、自分が前を向ければチャンスになりました。チャンスになる場所、時間帯を理解しながら我慢してプレーしたことで、最後に3点取れたのだと思います。

 オナイウもこのようにコメントしていました。失点のリスクを抑えつつ、相手を動かして疲弊させる。疲れ切ったところで反撃の狼煙を上げるボス。それに応えて得点を決める選手たち。逆転劇は偶然ではなく、狙ったものだったと言えるでしょうマリノスのゲームプラン通りの試合だったと思います。

スタッツ

sofascore

www.sofascore.com

SPAIA

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Football LAB

www.football-lab.jp

ラッキングデータ

www.jleague.jp

所感

リスクを減らした代償は得点、と言いたくない

 リスクを減らすような対応をして相手の疲れを待ったマリノス。「そのために得点できなかったことはOK?」と聞かれると、自分はNOと答えます。

 前に蹴り出す一か八かをしなかったこと。スピードのある選手を最初から起用したこと。普通に点取る気満々だったと思います。実際バーに当たる惜しいシーンがありましたよね。

 なので、失点するリスクを減らす代償は得点を奪うこと、とは言いたくないです。何よりそんなのマリノスらしくないですからね。前半も普通に得点できたと思います。

我慢できる大人になりつつあるのかな

最後は自分たちのほうが運動量は多く、彼らは足が止まりました。彼らがずっとあのプレスを続けることは難しいと思っていたので、自分たちはそのスキを突こうということを伝えていましたし、選手が体現してくれました。

 自分の狙いがドンピシャだったためか、ボスがめっちゃ饒舌です(笑)まさに狙い通りだったんですね。

 前半はちゃんと無失点に抑えましたが、後半早々にセットプレーから失点してしまします。今までのマリノスならここで焦り、前掛かりな攻撃を開始したでしょう。しかしこの日はそういった焦燥は見られず、耽々と試合を進めていました。1点くらいならゲームプランに影響しなかったようですね。

 まさかボスのマリノスでゲームプランという言葉を使う日がくるとは思ってませんでした…失点に焦らず、ボスと選手たちが掲げた計画通りに事を運んだのは、大人の階段を登ったと言えるのではないでしょうか。

 ただ、こういったリスク低減の中、チアゴが果敢に上がるのはちょっと引っかかりました。マンツーマンの相手を敵陣に引っ張れるので大丈夫。という算段だったんでしょうかね。たしかに後ろが数的不利になることはありませんでしたが、リスクのあるプレーがちょっとモニョります。自分が気にしすぎなのかもしれませんが。

 さて、今回はあまり相手を見ない札幌だからこれだけハマったというのはあると思います。これがもっと用心深いチームになったとき、どのくらい勝負できるかは楽しみなポイントです。これからの成長に期待したいですね。

【2021 J1 第9節】ベガルタ仙台 vs 横浜F・マリノス

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スタメン

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ベガルタ仙台

  • アピアタウィアが累積警告で出場停止
  • 代わりに吉野が入る
  • それ以外は前節と同じスタメン

横浜F・マリノス

  • 前節から喜田が岩田に変わったのみ
  • 負傷離脱していたマルコスがベンチ入り

試合のポイント動画

リスクとセーフティの狭間にて

絶妙な仙台の守り方

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  • 4-4-2でブロックを組んでゾーン基調で守る
  • ボールの近くにいる前にいる相手を捕まえる
  • 西村と赤崎は縦関係になることも
  • ディフェンスラインも高くし、縦横に圧縮したコンパクトな布陣

 ベースはゾーンなのだが、近場の相手は前向きに捕まえる形。背後に入る相手をあまり気にしません。なので、マリノスいくら動こうとも、相手のブロックは中々形が崩れない状況が続きます

Jリーグの中でも上位に入るくらい攻撃のスピードとパワーがある横浜FMに対して、まずは全員守備をコレクティブにやっていこうと。その中で彼らのスタイル、相手のオーガナイズを釣り出そうとするサッカーに対して、なるべく釣り出されないようにコミュニケーションをとってやろうとしました。

 手倉森監督のコメントからも、これが仙台の狙いであることがわかります。恐らく今季ぶつかった中で、一番整理されたゾーンディフェンスだったのではないでしょうか。

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POINT

ボール近くは人につくので、人数をかければ数的優位で崩すことができることも

 ただ完全なゾーンではないので、マリノスお得意のサイドに人をかける形が取れれば崩すこともできました。湘南戦とセレッソ戦の文脈から考えると、ボランチがいかに上がれるか。これがキーになりそうですよね。特に前節はそれを実行していた印象です。

前に出たいけど行ってしまうと…

 前に人数をかけたいマリノス。特にボランチは積極的に出ていきたい状況でした。しかし、気軽にそうできない理由もありました。

  1. ゾーンな相手に動きすぎると、攻守が入れ替わったとき不利になりやすい
  2. 手の攻撃起点が中盤と守備陣の間だったので、迂闊に空けられない

 例えば、サイドバックが相手サイドハーフの背後を取ったとしましょう。この状況で相手が釣られて下がれば敵陣に押し込めますが、ゾーンだとそうはならない。その状況で攻守が入れ替わると、自分たちの方が守るべきゴールから遠ざかっている状態になってしまいます。これだと失点のリスクが上がりますよね。これが前者です。

 後者は動画にした通りになります。ボランチが中央を空けると、そこを起点に相手に攻められてしまう。前節の後半を思い出してください。清武がトップ下に移行した後、セレッソがボールのおさめ所を見つけたのと同じ状況です。このあたり、仙台はスカウティングしてきたんだなと感じました。これにより、ボランチ中央を離れるリスクが増すことに。

 点を取るなら高い位置に人数を割かないといけない。しかしそれにお付き合いしてくれないし、なんならそうやって空いた箇所を狙っている。動けば動くほど、失点のリスクが高まることに。この矛盾があるような天秤は、ルヴァン杯広島戦以降のテーマです。そして扇原が選択したのは、失点のリスクを減らすことだったでしょう。

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 前節とヒートマップを比較すると、明らかに後ろでのタッチが増えていました。この試合では3バック化することが多かったですよね。これは相手に奪われても、最終ラインで数的不利を起こさない予防策だったのでしょう。

 これはチームとして行ったのではなく、扇原個人の判断だと思います。岩田はガンガン上がってましたしね。扇原の性格と、相手の狙いがわかる洞察力の高さからそのようになったのだと推察します。

縛りがある中でのブロック崩し

縦横圧縮なら長いボールを使えばいいじゃない

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  • ハイラインの裏を突くロングボールで一気に抜け出す
  • 逆サイド大外は空きやすいので、サイドチェンジで大きく展開する

 縦にも横にもコンパクト。中にはスペースが全然ない。そんな状況でも空いてるところはあるじゃないですか。そうです、ボールから遠いところになります。相手のブロックが動くより先に、一息にそこを突ければ急所をえぐることが可能。ロングボールは有効な解決策の1つでしょう。

 この試合は、ボスが前半の飲水タイムから積極的に指示を出していたのが印象的でした。大きな身振り手振りから、上記のような攻め方を指示していたのかもしれません。特に畠中がサイドチェンジをした右図。こちらは飲水タイム直後のプレーなので、言われたことを実践してるのかなと感じました。

自分たちがオープンになって相手もオープンにさせちゃおう

 この試合でボスは速い時間帯から3人を替えます。下がったのは扇原、天野、仲川になります。前線の交代は既定路線ですが、扇原の交代は違いますよね。誰よりも守備でバランスを取っていた彼を下げ、攻撃に持ち味のある皓太を投入。これって前節の交代策と真逆ですよね。

 自分たちの守備が崩れるくらい攻撃していいし、その分相手に攻撃されてもいい。とにかくボールが互いの陣形を行き来する状況が作りたかったのだと思います。

 しかし動画にした通り、仙台の攻め方は段階的になっています。なぜそうしたかというと、試合をオープンなものにしたくなかったから。また、守備の安全性を担保したかったからでしょう。選手交代による混乱で最初の10分ほどは敵陣に迫れましたが、それ以降はさっぱり。マルティノスをサイドではなく、前線で交代させたことからも徹底ぶりが伺えます。

 マルティノスがサイドに入り、マルコスが投入されてからオープンな展開に。その短い時間で試合を決めきることができませんでした。

スタッツ

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ラッキングデータ

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所感

他にもあった有効手段

 縦横圧縮した相手に対しては、広い範囲で素早くパスを回すことも効果的です。相手ブロックのスライドが間に合わないうちに攻めちゃう形ですね。しかし、この試合でマリノスのパススピードは遅かったように感じました。

難しい試合になりました。ピッチコンディションも含めてコントロールが難しかったです。(中略)今日であればピッチコンディションにも難しさがありました。

 ボスがピッチコンディションについて触れたのは、そういったことが理由でしょう。水があまり撒かれず、芝が長いとボールが走りません。実際どうだったかは現地にいなかったのでわからないですが、そういうことだったのかなと。これがアウェイの洗礼ですよね。こういった試合で負けなかったことが大事だと思います。

同じ課題と違うディテール

  • 敵陣に押し込む
  • 固いブロックを組んで迎撃される
  • 中々点が取れない

 大別すると、ここ3戦は全て似たような状況だったでしょう。しかし対処しなければいけないことは、全て異なっていました。

湘南戦

攻撃にどのくらいリスクをかけるかと、先制後の対応方針

セレッソ

リスクを負って攻撃し、先制後の意思統一を図る

仙台戦

攻撃に人数をかけられない状況で引いた相手をどう崩すか

 同じテーマの舞台でも、演じる役者が違えば見える景色も変わりますよね。そんな感じです。異なった状況でも負けなかったのは、一定の評価を与えられると思います。

自分たちのやっているアプローチは間違っていないと思いますし、選手たちはしっかりやってくれたと思います。シーズンが始まって、悪い試合は1試合しかなかったと思います。それは開幕の川崎フロンターレ戦だと思います。ルヴァンも含めて調子は上がってきていますし、続けていくことが大事だと思います。

 ほら、(どこまで本気かわかりませんが)ボスもこう言ってますし。こういった試合をものにできたとき、チームは強くなるんだと思います。自分たちはまだその途上にいるのでしょう。

 さて、次の札幌戦はまた違うテーマに直面します。固い相手を崩すこととは別のことを要求されるでしょう。ガラッと変わりますが、どこまで対応できるか楽しみです。