hiro's football report

国内外、カテゴリー問わなずサッカーのマッチレポート風なものを掲載

【2022 ACL GL4節】横浜F・マリノス vs シドニーFC

スタメン

横浜F・マリノス

  • 前節から10人の先発メンバーを変更
  • レオとエドゥアルドが外国籍の関係でメンバー外

シドニーFC

  • 前節から8人の先発メンバーを変更
  • 負傷したオトゥールはメンバー外

正面から相手の狙いを打ち砕くマリノス

効果的な攻撃から逆算した守備方法

  • 前線の4人はフォワードの選手
  • ウッド以外は足が速いので、高い位置でボールを奪って素早く攻めたい
  • 攻撃から逆算して、ミドルブロックを形成
  • コンパクトにするためディフェンスラインを高く設定
  • しかしファーストラインを抜かれるとすぐ撤退する
  • 間を埋めるため、ボランチの2人は激しく上下動することに

 この日のシドニーは、前線の4人にフォワードを起用してきました。ターンオーバーの影響も多分にあると思いますが、マリノスのはスピードのあるカウンターが効果的だと考えたのでしょう。

 彼らの攻撃性能を活かすためには、高い位置でボールを奪って強襲したい。前向きのベクトルが強い選手たちなので、4人の守備ラインが高くなります。それに合わせてディフェンスラインを高く設定。攻撃から逆算した結果、前節よりも高いミドルブロックを形成してきました。

 しかし調子を上げつつあるマリノスに、プレスがハマることは少なかったです。難なくファーストラインを突破され、すぐ撤退することに。敵陣にボールがあればミドルブロックを形成。それを突破されて撤退守備に移行。これを繰り返すことになり、シドニーの選手たちは何度も上下動することに。結果的に、スタミナを削りやすい守り方になってしまいました。

自分たちらしさを取り戻す走り

攻撃面での走り
  • 相手サイドハーフの守備位置が高いので、背後を取りやすい
  • 相手のラインが高いので、裏抜けで大きなチャンスになる
  • 複数選手が連動して動いたり、素早い動き出しの意識が相手守備と噛み合う

 複数の選手が連動して素早く動く。マリノスらしさが見える動きを、選手全員が意識していたように思います。

 外側にエウベルが下り、角田が内側を上がる。いずれも高い位置にいる、相手サイドハーフの背後を取る動きです。喜田や山根が中の選手を留めていることもあり、エウベルか角田にパスを届けられることが多かったです。左サイドからの組み立てが多かったのは、この2人の動きがよかったからでしょう。

 相手のラインが高いので、背後へ抜け出す意識も高かったです。2点目に繋がるスローインを得たきっかけは、水沼の抜け出しによるものでした。これ以外にも、アンロペやエウベルが抜け出すこともありました。

 高い位置で守るシドニーと、広い範囲を素早く動こうとしたマリノス。両者の思惑が噛み合った結果、マリノスが優位に試合を進められていました。相手の狙いを真正面から打ち砕いたと言ってもよいでしょう

守備面での走り
  • 相手の前線4人は高い位置に張りがち
  • その状態でマリノスの素早いプレスを受ける
  • 前との距離が空くので、下から繋ぐことがしづらくなる
  • プレスをいなすことはできるが、前進はあまりできない
  • 独力で前進できると効果的なカウンターが打てる
  • 推進力のあるアミニがいないので、カウンターが不発に終わることが増える

 前線の4人は、攻撃でも高い位置を取りがちでした。前線との距離がある状態でマリノスのプレスを受けるので、いなすことはできても最前線までは展開しづらいことに。

 こういったとき、独力で前進できる選手がいると前まで届けやすくなります。前節その働きをしていたのはアミニでしたが、今節は彼が不在。前を後ろを繋ぐ推進力ある選手がいないので、効果的なカウンターをあまり打てませんでした。

 いなすことで精一杯だったのは、マリノスの激しいプレスがあったからこそ。自分たちらしく走ろうとする意識は、守備面でも効果覿面でした。

 前述した守備方法もあり、試合時間の経過と共にシドニーは縦へ間延びするようになります。マリノスとしては前線までの展開は楽になりますが、その後かわすべき相手は多くいる状態に。スタミナがなくなるとこの傾向は顕著になりやすいので、時間が経つに連れて攻めづらくなります開始早々のチャンスを仕留められたのは大きかったでしょう。

 以降の展開は、縦に間延びした相手をかわし続けるものでした。シドニーが攻勢に出れたのは後半55分ごろから。マリノスの選手たちに疲労がたまり、選手間の距離が開いたことでパスのテンポが落ちる。自分たちの網にかけられる速度まで落ちたことが、シドニーが反撃できた主な要因でしょう。

 その後退場してからは、2020年のアウェイ川崎戦や、2021年のアウェイ柏戦と同じだったので省略します。

スタッツ

sofascore

www.sofascore.com

AFC公式

www.the-afc.com

Jリーグ公式

www.jleague.jp

所感

移ろいゆく時の中で変わらないもの

 10人になってからのサッカーですが、2シーズン前の記事を引き合いに出し、「同じです」の一言で片づけました。これだけで済むことに、個人的には感慨深いものがありますこの2年で、選手どころか監督まで変わっています。人が変わっても同じサッカーをしているマリノスチームの哲学がしっかり形作られている証左でしょう。

前半の早い段階で2点を入れても守ることなく攻め続ける、自分たちのやるべきことをしっかり表現してくれました。自分たちで支配して戦えましたし、特に10人になってからも完全に引いて守ることなく、攻めの姿勢を忘れず、しっかり点が取れたことは大きいです。選手たち全員が強さを見せてくれました。

 ケヴィンのコメント通り、確固たる意志を貫く強さを目の当たりにできた試合だったと思います。

「1人少ない状況でしたけど、それを感じさせずに1人ひとりがもう1人分走れた結果が今日の試合の結果につながったかなと思います。あと2試合、2つとも勝って日本に帰りたいと思います」

 海夏のコメントからも、走力に関する自信が伺えます。試合を重ねるごとにマリノスらしさを取り戻しているマリノス。この勢いのまま、残り2戦も駆け抜けましょう。