hiro's football report

国内外、カテゴリー問わなずサッカーのマッチレポート風なものを掲載

【2021 J1 第26節】サガン鳥栖 vs 横浜F・マリノス

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スタメン

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サガン鳥栖

  • 前節から2人先発メンバーを変更
  • 小泉を初めて右CBで先発起用

横浜F・マリノス

  • 前節から2人の先発メンバーを変更
  • この日もチアゴはメンバー入りせず

勝つための覚悟を持った鳥栖

ハイプレスを選択させたという考え方

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  • 全選手を相手選手にあてはめるマンツーマンでハイプレスを実施
  • 最後方も同数なので跳ね返せるかが大事
  • もし抜かれたり競り負けたりすると、大ピンチに直結する

 鳥栖はマンツーマンによるハイプレスを実施。前だけではなく、最後方も同数になることを許容します。これは札幌が採るやり方とほとんど同じです。札幌にとってはお馴染みの守り方ですが、自分が見てる限り鳥栖はこのような守り方をあまりしていませんでした。強力なフォワードに対し、鳥栖の守備陣では心もとない場合がありますからね。しかし、なぜそのようなリスクある守備方法を採用したのでしょうか。

前回対戦ではリスペクトし過ぎて、失点はたくさんしなかったですが、なかなか勝機を見いだすことができなかった横浜FMさんに勝つために」というところで、高い位置で引っかけることで得点するチャンスは必ず生まれると確信していましたし、実際にそういうチャンスも来ました。

 金監督のコメントにその理由がありました。前回は負けないために戦った。しかし、今回は勝つために戦ったということでしょう。そのため、慣れないオールコートマンツーを選択しました。

 上図にあるよう、失点シーンはマンツーマンのリスクが表面化していました。しかしこれで鳥栖のハイプレスが止むわけではありません。リスクある選択をしているので、当然こういうことも起こるだろう。そう捉え、くじけずに得点を狙いにきます。

 今回は極端でしたが、マリノス相手にハイプレスを仕掛けてくるってお馴染みですよね。鳥栖としては一大決心だと思いますが、受ける側としては『いつものやつ』という感覚です。

 マリノスは相手がハイプレスを仕掛けてきても繋ごうとしますよね。「危ないなら蹴ってしまえばいいじゃないか」と思うかもしれませんが、やり方が定まらないと相手の出方も変わってきます。マリノスが繋ぐという保証があるからこそ、相手の採る方法も限られるのです。ある意味で、プレーを強要してることになりますよね。これが強みの1つだと思います。

やれてないけど、やられてもない

 では、今回のハイプレスへの対応はどうだったのか。個人的には悪くなかったと思います。マリノスが本来やりたいことはできなくとも、鳥栖が狙っていたこともさせなかったからです。

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  • 鳥栖の狙いはハイプレスからのカウンター
  • なので、中央付近で奪われるとピンチになりやすい
  • サイドや敵陣でロストする分には割と安全
  • 蹴ったとしても、鳥栖は保持を目指してないので痛手にならない

 鳥栖の狙いはショートカウンターです。そのため、ゴールに近い中央で失うと危ない状況。しかし、ゴールから遠いサイドや敵陣なら、ロストしても守備を整える時間が作れます。基本的にマリノスは外で伺いつつ、中央へのパスは丁寧に行っていた印象です。外回しのパスが多かったのは、リスク管理をしていたからかもしれません。

 さて突然ですが、相手のプレスに屈して大きく蹴るのは、必ずしも良くないと言えるでしょうか?ボールを蹴るということは、自分の攻撃時間を短くすることになります。相手にボールを渡すので、敵の攻撃時間が増えます。そうなると、ボールを保持されて押し込まれてしまう。蹴ることにマイナスイメージを持つのは、これらが主な理由でしょう。

 しかし相手が保持することを選択しない場合、こちらが蹴っ飛ばしたボールはすぐ返ってきます。つまり素早い攻めを志向する相手なら、蹴とばすことのデメリットが出づらくなります

 今回の場合、鳥栖はハイライン裏を素早く攻めてきました。そこにマリノスのハイプレスが加わることで、攻撃時間の短さに拍車がかかります。しかも相手はボールを敵陣で奪いたい意図がある。これらを加味すると、蹴とばすことは悪くない選択肢なのです

 マリノスも繋ぐことを目指してるので、蹴とばすのは不本意なプレーです。しかし、鳥栖にとっても不本意な形になるので、極端な不利にはならない状況。サイド中心に攻めることも、敵陣に蹴とばすことも、互いにとってイーブンだったと言えるかもしれません。

 そのまま試合が動かなければ、当然どちらかが変更を加える必要があります。マリノスがある程度無理して繋ぐとか、鳥栖が保持して相手を押し込むようにするとか。しかし先に得点が入ったことで、マリノスは同じやり方を継続することができました。五分な展開で挙げた先制点は、非常に大きなものになりました

スタッツ

sofascore

www.sofascore.com

SPAIA

spaia.jp

Football LAB

www.football-lab.jp

ラッキングデータ

www.jleague.jp

所感

面白いタイミングでの3点目

 鳥栖は樋口が退場して10人になりました。選手交代を行い、今季ほとんど行ったことのない4バックに変更。そもそもどういう布陣にするのか。マンツーだった守備はゾーンにするのか。試合中監督から伝えることは限られるので、チームとして意思統一したプレーができるのは、飲水タイムまでお預け状態です。

 こういった不安定な状況は、付け入る隙が多くなるもの。実際、飲水タイム後に鳥栖は布陣を変えてますからね。大畑や小屋松が監督に指示を仰いでたことからも、ある程度混乱していたことが伺えます。

 本来ならこの時間に得点を取りやすかったと思うのですが、実際は飲水タイム後に加点。ほんとサッカーってわからないなぁ、と思った瞬間でした。