hiro's football report

国内外、カテゴリー問わなずサッカーのマッチレポート風なものを掲載

【08-09 プレミアリーグ】リヴァプール vs アーセナル

スタメン

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リバプール

  • 4-5-1の布陣
  • ジェラードが怪我で欠場。代わりにカイトが先発
  • ほぼベストメンバー

アーセナル

シュート分析

xGについて

 両チームのxGについて、簡易的なものでありますが、WEBサイトより算出しました。

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  • 2.38 : 0.99 が最終的な数値
  • 2-1 もしくは 3-1 が妥当な試合だったと言える

 数値を見ると、4-4の試合とは思えないものでした。互いに低いxGでもゴールを決めたということになります。リバプールの1点目は0.04アーセナルの2点目は0.08と、非常に低い数値でした。

 また試合内容の印象通り、リバプールの方が多くのチャンスを作っていたことがわかります。xGも倍近く差があるため、質が高かったことも伺えますね。

リバプールのシュートについて

枠内とエリア内の比率

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 シュート数は22本を記録。60%弱が枠内、70%弱がエリア内と、多くのチャンスを創出。アーセナルを圧倒していました。

シュート位置

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 シュート位置を見ると、エリア内でも角度がついているところから何本か撃っていることがわかります。また、エリア外のシュートはことごとく枠を外れている状態。これらがxGの伸び悩みに繋がったのでしょう。

 また、この試合ではファビアンスキーのセーブが光りました。リバプールのシュートコースが甘かったこともありますが、8セーブは見事な数値。引き分けの立役者はアルシャビンだけではなかったように思います。

シュートを撃った選手

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 トーレスが最多本数を記録。次いでベナユンとなります。この2人だけでチーム全体の半分を占めている。2点ずつ取ったのも納得ですね。フィニッシャーとして中心にいたのは彼らだったでしょう。

シュートシチュエーション

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 ドリブルで相手をかわしてシュートへ至ることが多かったようです。次いでクロスやコーナーキックが多い。サイドへ展開してからクロスよりも、中央付近へ向かうドリブルを好んでいたようです。長いボールを蹴ることも多かったので、その影響もあるでしょう。

アーセナルのシュートについて

枠内とエリア内の比率

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 リバプールの22本に比べ、7本だったアーセナル。主導権がリバプールにあったことが伺えます。それでも半数以上を枠内かつエリア内で撃てていたため、チャンスの質は悪くなかったのではないでしょうか。

シュート位置

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 2つのミドルシュートを除くと、他はエリア内や近くで撃てていることがわかります。枠内におさまった4本は全てアルシャビンのもの。それをゴールに繋げたことも含め、決定力の高さが素晴らしかったです。レイナのセーブ数も0と、この試合ではあたっていませんでしたね。

シュートを撃った選手

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 前述した通り、半分以上アルシャビンが撃っている状況でした。相手のミスを逃さずきっちり決めたことが、引き分けまで持ち込めた要因の1つでしょう。フィニッシャーとして抜群の働きだったと言えるはずです。

シュートシチュエーション

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 こぼれ球が最多を記録していることから、嗅覚の鋭さが伺えます。また数値が均等なことから、決まった崩し方があったわけではないようです。レギュラー陣の不在、とりわけ攻撃陣に多かったことが影響しているのかもしれません。

両チームのパスマップ

 それぞれどのようなルートでパスが行われていたかを可視化するため、パスマップを作成しました。前半10~30分後半50~70分までの成功パスに対して集計。表示しているポジションは適当なものになります。

リバプール

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  • リエラ ⇒ カイト ⇒ アルベロアのルートが多い
  • キャラガー ⇒ レイナ ⇒ アッガーのルートが多い
  • トーレスと2列目から前向きのパスが少ない

 まずは、カイトからアルベロアのパスが多いことがわかります。これは、相手ライン間でカイトがボールをおさめ、高い位置に上がったアルベロアへ落とすことが多かったからでしょう。アルベロアからトーレスへのパスが多く、サイドからチャンスメイクしていたことが伺えます。

 次に、キャラガーからレイナへのパスが多いこともわかります。キャラガーが相手からボールを奪い、相手プレスをいなすためレイナへのバックパスが増えたからでしょう。そこからアッガーへ展開するか、前線へフィードを送ることが多かったです。

 2列目より前の選手から、前向きのパスが少ないことも特徴。特にトーレスベナユンはパス数が少ないことからも、彼らが仕掛けたりシュートを撃っていたと予想できます。

アーセナル

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 特に前半ですが、ベントナーやセスクがボールを受け、そこからパスを出すことが多かったです。2トップがこの役割を担っているため、後ろへ下がりビルドアップを助けたことが伺えます。

 また、アルシャビンからのパスが少ないことから、ドリブルでの仕掛けやシュートが多かったことがわかります。実際シュート本数はチーム最多を記録していましたよね。

 後半になると両センターバックからのパス本数が減ったことにも要注目。繋ぐ余裕がなくなり、クリアすることが多くなったことが予想できます。

トーレスへのロングボールについて

 トーレスの強みは、圧倒的なスピードにものを言わせた裏抜けでしょう。この特徴を活かすため、彼へのロングボールはこの試合でも多く見られました。これについて少し見ていきたいと思います。

ロングボールを受けた位置

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  • ピッチ中央付近での競り合いが多い
  • 競り負けている回数が多い

 サイドから抜け出してボールを受けるというよりは、中央付近で競り合った回数が多かったようです。勝率はあまり高くなく、多くの場合で競り負けていたこともわかります。

勝率と空中戦率

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 勝率は30%弱とあまり芳しくなかったことがわかります。また、ほとんどのボールが空中戦だったことがわかります。裏に抜け出してよーいドンをあまりさせてもらえなかったようです。

競り合った相手

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 競り合った相手を見てみると、ほとんどがセンターバックになります。特にシルベストルとの回数が多かった模様。体の強さでは相手の方に分がありますね。それに対して空中戦を強いられていたため、勝率が芳しくなかったように思います。

ロングボールを出した選手

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 ロングボールの出し手に注目してみます。一番多いのはレイナ。キーパーまで下げ、そこから前線へ放り込んでいたことがわかります。キャラガーが続いていることから、前線のターゲットは主にトーレスだったことも伺える。

 また、リエラが次点にランクイン。サイドハーフからのボールが数本あったことから、中盤と最前線までの距離があったことも予想できます。

雑感

ディフェンスラインの高さとFWの脅威

 この試合、サイドへの選手に対して、サイドバックボランチが前に出る。それに加えサイドハーフが下がる。この囲いを作り、ボールを奪い取ろうとすることが散見されました。このとき、ディフェンスラインの高さが両チームで異なっていたのは興味深かったです。

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  • トーレスの裏抜けを警戒して、ディフェンスラインが低い
  • 中盤やサイドバックは前に出ていってしまう
  • ディフェンスラインの前が空くので、カイトがそこに入り込む

 アーセナルのディフェンスラインは低かったです。なぜかと言うと、トーレスの裏抜けを警戒していたからではないでしょうか。こうした効果は、ロングボールの競り合いで空中戦が多かったことに表れています。競り合った勝率もよく、裏抜けに関しては防げていたと言えるのではないでしょうか。

 しかし中盤との距離が空くため、そこを使われる状態に。このシーンではボールを持つリエラを囲うも、間に入ったカイトへ逃がされてしまいます。アーセナルが攻め立てられた要因はここにあると感じました。

 翻って、リバプールは高めのラインを維持できていました。というのも、セスクやベントナーは下がってパスを引き出していたからです。パスマップによく表れていましたよね。そのため、深さを作ることができず、狭いスペースでのサッカーを強いられていました。

 1人で相手センターバックを押し下げるトーレス。後ろに下がるのであまり怖くないベントナーフォワードの脅威が如実に出た試合ではないでしょうか。

過去の試合を見て

 今のサッカーほど配置が重要視されていないことを強く感じました。各所で三角形を作りながらビルドアップするわけではなく、選手のスキルによってボールを前進することが多かったように思います。この時代は組織的な攻めよりも、個人のスーパープレーが主軸だったようです。

 そんな中でもキレイに三角形を作ってビルドアップしているシーンが前半25分ごろに見られました。アーセナルの華麗なパス回し。ご興味があればこのシーンをご覧いただけたらと思います。

 また、現代ほど4局面が目まぐるしく変わることも少ないように感じました。それぞれターン制のような形。これは全体のコンパクトネスに影響されていると思います。今ほど縦横に圧縮してサッカーを行うことは少なかったですしね。こういう背景があったからこそ、個人のスキルを重視する文化だったのではないでしょうか。