hiro's football report

国内外、カテゴリー問わなずサッカーのマッチレポート風なものを掲載

【2022 J1 第16節】ジュビロ磐田 vs 横浜F・マリノス

スタメン

ジュビロ磐田

  • 前節から2人の先発メンバーを変更
  • 山本康裕が負傷離脱によりメンバー外

横浜F・マリノス

  • 前節から4人の先発メンバーを変更
  • アップ時に違和感があったため、急遽エドゥアルドに代わって角田が先発
  • エウベルが負傷離脱によりメンバー外
  • A.ロペスが出場停止でメンバー外

マリノス相手に、前から抑えるか?後ろで抑えるか?

前から制限をかけられた守備

  • 4-1-4-1のブロックを敷き、外を切って中へ誘導する
  • 高い位置に人が多くいる中央で奪い、ショートカウンターをすることが狙い
  • 最初基準にしていたサイドバックボランチと入れ替わると外が空くことに
  • ポジションが固定されないマリノス相手に、基準を見つけることに苦労する磐田

――スタートから4-3-3で試合に入った狙いは?
まずはボール保持者に対してプレッシャーをかけたかったということが一つです。あとは裏の対応というところで、引いてしまうと相手の良い状態でボールが運ばれてしまうということがありました。ゴールよりも遠いところでプレッシャーをかけたいと。4-3-3の中で我々は一つ前にプレッシャーをかけるというところで、良い場面もありましたし、逆に危ない場面もありました。これはやりながらも、もっともっとクオリティを上げていかないといけないかなと思います。

 伊藤監督が前に人数をかけた理由をコメントしていました。相手にボールを運ばれても最後で止めればよい。という考えではなく、そもそも前進するところから阻害したい。そのため、ボールホルダーに制限をかけたかったようです。マリノスは即時奪回も優れているチームですので、自陣に押し込まれ続けることを嫌った側面があるのかもしれません。浦和のリカルド・ロドリゲス監督が採った方策とは違うあたり、監督のカラーが出て面白いですよね。

 マリノスもしばらく組み立てがうまくいきませんでしたが、時間が経つにつれて徐々に相手の狙いがわかるようになります。上図の通り、サイドバックボランチが動いて守備の基準点を崩すいつものプレーが効果覿面でした。これにより、大森や鈴木雄斗が健勇と入れ替わって守備をすることも。それだけ相手守備陣形をぐちゃぐちゃにすることができていました。

 しかしそこから先で苦戦します。引いた時の磐田のブロックは強固。崩せたのは、即時奪回の成功時か、相手ブロックをかわしてすぐに背後を取れたときがほとんど。守備が全てうまくいったわけではないが、最後のところで踏ん張れている状態。前半無失点だったことからも、磐田としては及第点だったのではないでしょうか。

うまくいかない組み立て

  • 組み立て時は鹿沼が下り、山本が上がって3-2-5のような形を取る
  • 山本が極端に上がるので、槙人に入ったとき通しづらい
  • 槙人からすると、前に蹴るか後ろに下げるかしかない状態
  • あまりに組み立てられなかったので、後半から山本が下がるように
  • 4バック調になったので、後方で回しやすくなった

 磐田は鹿沼が下りて山本を上げる形で組み立てをスタート。可変の仕方といい、布陣といい、札幌に似たものを感じます。しかし、山本の位置が高すぎることがネックに。槙人からするとパスの難易度が上がりますし、山本からすると孤立しやすいです。各々の選択肢は、前へ大きく蹴り出すか、後ろへ下げるくらいしかありません。そもそもマリノスは切り替えが早く、可変しきれないことも。組み立てがうまくいってなかった主因は、立ち位置だったでしょう。

――前半30分くらいで、一度5-4-1になったように感じましたが監督の意図は?
そこは、5-4-1に変えたわけではなく、攻撃時の立ち位置を少し変えました。基本的に3バックの立ち位置というのは、鹿沼が下がって3バックの真ん中に入るようにしていたのですが、鹿沼ボランチの位置のままにして、(伊藤)槇人が3バックの真ん中に入り、ノリ(山本義)が右にと。そして(鈴木)雄斗はボランチの脇のところでポジションを取ったり、ウイングバック的にワイドに開かせたりといった修正でした。

 うまくいってないことに気付き、伊藤監督は試合途中に指示を与えていました。しかし意図が全て伝わっておらず、結果的に5-4-1で守る形に。しっかり時間を取れた後半からは、山本の立ち位置が変わってスムーズに組み立てられるようになりました。

――前半は、狙い通り相手の攻撃を封じていたのでは?
確かに決定的なチャンスは前半1本か2本くらいだったかもしれませんが、それ以上に相手のゴールに向かって行くシーンを全く作り出せませんでした。そこが無いと守れていたとしても意味が無いというか、勝つためには攻撃に繋げなくてはいけません自分たちがボールを動かす時間だったり、前半も後半もしばらくはシュート0だったと思うのですが、攻撃に出られなかったという意味でも、今日の試合の攻撃の手応えはほぼ無かったと言って良いのかなと思います。

 ハイプレスがかわされることと、組み立てがうまくいかないことが重なり、マリノスのボール保持時間が長くなります。鹿沼のコメントからも、攻撃がうまくいかないと感じていたことがわかります。守備はある程度うまくいっているが、攻撃が全くできない状況。守備に奔走するストレスも伺えます。

守り方のメリット・デメリット

  • 先制点は、5バックなら致命的なスペースを埋められた
  • しかし5バックだと相手の攻撃を低い位置で受ける回数が増える
  • それを嫌って前に人をかけた守備をした磐田
  • 4バックがいいか、5バックがいいかは結果論

 4バックや5バックによるメリットやデメリットは、先制点の場面によく表れていたと思います。5バックならジョエルが入り込むスペースを素早く潰せただろうし、仲川がフリーでシュートを撃てることもなかったはず。しかし重心が低くなるので、攻撃を受ける回数が増加します。結局のところ「5バックだったらよかった」というのは結果論になるでしょう。

 ただ4バックで臨むのなら、前線からの制限を強めたかったです。高い位置に人がいるので、簡単にサイドを変えさせないことが求められます。先制点のシーンは、岩田からの展開を阻害したかったです。しかしそれができなかったのは、マリノスが縦横無尽に動いて、相手の守備陣形をかき乱したから。文字通り、力の差で破ったことになるでしょう。

スタッツ

sofascore

www.sofascore.com

SPAIA

spaia.jp

Football LAB

www.football-lab.jp

ラッキングデータ

www.jleague.jp

所感

厳しい連戦を終えて首位に

 ACLから帰還し、息つく間もなかったマリノス。これから中断期間に入るので、ようやく整えることができます。怪我人も出ましたし、疲労の蓄積で思うようにいかない試合もありました。それでも首位に立てたのは、ケヴィンが分厚いスカッドを形成してくれたからでしょう。そして起用に応え続けた選手たちの献身あってこそです。

 誰が出ても活躍できるということは、全員が試合に出る準備ができていることになります。日々のトレーニングから充実しているのでしょう。この雰囲気の良さは、優勝した2019シーズンと似たものを感じます。恐らく今後も喜怒哀楽を感じるでしょうが、最後に笑っていたいと強く思います。