hiro's football report

国内外、カテゴリー問わなずサッカーのマッチレポート風なものを掲載

【2022 ACL GL2節】横浜F・マリノス vs 全北現代

スタメン

横浜F・マリノス

  • 前節から7人の先発メンバーを変更
  • エドゥアルドとレオが外国籍の関係でメンバー外

全北現代

  • 前節から5人の先発メンバーを変更
  • 前節脱臼で負傷したパク ジンセブはメンバー外

攻める速度と手数の差

いつも通りな素早い攻撃

  • 崩しに関わる人数が少なくて済む
  • 動くスピードが速いので、相手を置き去りにしやすい
  • 相手が少ないので、多少ボールコントロールが乱れても大丈夫
  • 崩しに関わる選手が長い距離を素早く走る必要がある
  • フィニッシュする選手も崩しのスピードに合わせなければならない
  • 他の選手が間に合わない場合、攻撃だけでなく即時奪回もしづらくなる

 自分たちが素早く動くことで、相手に考えさせる時間を与えないようにします。ただし、ポジションを入れ替えるのは1人ではできません。誰かが速く動いたとき、別の選手も同じスピードが求められます。リーグ屈指の走行距離を誇るのは、全員が素早く大きく動いているからでしょう。

 この試合でもマリノスはいつも通りの攻撃を実施します。しかし初戦に続き、全員が連動して素早く動き続けられるわけではありませんでした。攻撃面では中の人数不足を引き起こし、守備面では即時奪回ができずに切り替えで後手を踏むことに。被カウンターで決定機が多かったのは、これが主な要因でしょう。

チャレンジしてる遅めの攻撃

  • 各選手の走る距離が短くてよい
  • スピードも極端に早くなくてOK
  • フィニッシャーが多くなる
  • 囲い込みによる即時奪回を狙いやすい
  • 相手の人数が多いので、狭い箇所でプレーできる技術力が求められる
  • 崩しのリソースを多く使うので、タイミングによってはフィニッシャーが少なくなる

 各々の動くスピードは遅いが、多くの人数でじわじわ攻める形。集団が段階を踏んで前進するため、攻守が切り替わってもすぐに囲えます。速攻ほど素早く長い距離を走る必要はないですし、即時奪回もしやすいことに。

 ただし、相手の人数が揃った状態を崩すことになります。狭い空間でボールを扱えるかが問われますし、崩しに傾倒しすぎるとフィニッシャーがいないなんてことも。

 左図のように、密集と孤立という構図が作りやすいので、これらを織り交ぜることで相手を揺さぶることができます。前半終了間際に迎えた大きなチャンスも、アイソレーションを混ぜた遅攻からでした。

この試合における速攻と遅攻の意味

 マリノス(というかケヴィン)の志向は、敵陣に相手を押し込み続けることです。自ゴールからボールを遠ざけ続けることで、失点の可能性を減らせるという考え方。そしてこの日の全北は、ミドルブロックを組んでカウンターを狙う形。これらが噛み合った結果、マリノスが敵陣でプレーする時間が増えます

  • 『中切り + サイドに蓋をする守備』により、攻撃の速度がでないマリノス
  • いつも通りの手数で崩しにかかったので、速攻寄りの攻撃
  • 気候やコンディションの問題で走れないので、即時奪回がハマらない
  • 全北は、ポジトラ時にスピードのあるカウンターを狙っている
  • 切り替えで後手を踏んだ結果、押し込んでるけどオープンな形になる

 いつも通りのメンバーでないことから、前節の全北は組織的な振る舞いがほとんどできませんでした。しかしこの日は、わかりやすい形を持っているマリノスが相手。特に攻撃は、相手の背後を狙えばいいという共通意識が作りやすいです。そこに『切り替え時は素早く走る』という簡単なルールを付加。シンプルながら、最も効果的な打開方法が生まれました。

 そんな相手に対し、いつも通りのやり方をするマリノス。しかしいつも通り走れないので、攻守共に人との距離が開いてしまいます。攻撃面ではパスが繋ぎにくく、打開のためには長い距離を走ることが必要に。守備面では即時奪回がハマらないので、カウンターを受けて自陣まで戻ることになります。結果として、長い距離を走り回るはめになってしまいました

全体的にはしっかりコントロールできましたし、問題点があるとすれば失点の場面もそうですが、切り替えのところです。それ以外は自分たちがしっかりコントロールしていたし、狙いはしっかり選手たちがやってくれました。

 ケヴィンのコメントからも、マリノスが押し込んでいることは狙い通りだったということがわかります。切り替え時の問題点は、速度のところでしょう。即時奪回もそうですし、攻撃でも相手より出足早く進めたかったのだと思います。

 この試合でやりたかったのは、マリノスの攻撃速度を落とす全北を、あまり走らず攻略すること。思い浮かぶ案として、遅攻があるでしょう。

 遅攻だと誰かが突出しづらいので、ボールを失ってもすぐ相手を囲い込むことが可能。ポジションチェンジも近い距離で済むので、長い距離を走らなくて済みます。

 速攻は少ないリソースでチャンスを作れるので、攻撃の施行回数が多くなります。逆に遅攻は、質の高いチャンスを手間暇かけて作るもの。前半終了間際に大きなチャンスがありましたが、ああいった場面を決め切ることが強く求められます。

 今まではお手軽にチャンス作っていましたが、それは走力を犠牲にしたもの。走るというコストが払えない今、手間暇かけて作った数少ないチャンスをものにしたい。簡単に言うとこんな状況なのだと思います。

打開しようとしたことが裏目に…

  • 人を捕まえる守備を利用し、わざと大きく動いてスペースを作る
  • マーク担当が届かないであろう距離を走る
  • 3バック化して相手が出てくるか様子を見る

 全北のブロックを動かせず、膠着した状態が続くことに。そんな中動いたのは、ボランチの2人でした。上記以外にも相手のベクトルの逆を取る動きをたくさんしており、何とかこの状況を打開したいという気持ちが伝わってきました

 しかし、その手法は自分が大きく動いて相手を動かすもの。どこかが空いたとき、そこに入る人は長く素早く走ることに。崩すということに繋がるかもしれませんが、走れない選手たちにとって要求するものが厳しい印象です。即時奪回ができない分、飛び出すリスクも高くなります

 動きすぎた代償がPKでした。失点のきっかけになったカウンターは、中央のフィルタリングができていない状態。ボランチの両名が出払っていたため、不利な状況で攻撃を受けてしまいました。

--失点シーンを振り返ってください。

自分と喜田(拓也)くんが前に出た瞬間にカウンターを食らったので、そこはどちらかがリスク管理をしなければなりません

 岩田がすぐコメントしていたのは、実に頼もしいと思います。言葉の通り、以後はどちらかが中央へ残る形を徹底していました。状況を打開しようとして起こった失点だったので、個人的に悪い印象は持っていないです。

自然と緩急がつくようになった後半

  • スピードと元気のある裕太を入れたことで、崩しのリソースを節約(速攻寄り)
  • 組み立てに全く関わっていなかったアンロペが下りるように(遅攻寄り)
  • 両極端な攻撃方法が確立できたので、自然と緩急がつくよう形になる

 走れないのなら、走れる選手を入れればいいじゃない。という考えのもと、裕太を投入。エウベルからのフリックに抜け出してクロスを上げていました。繰り返し前への抜け出しをしていたので、彼のコンディションは良いのだと思います。

 前半はなかったアンロペの落としも、後半から見られるようになりました。従来の手数をかけない攻め方だと、彼はフィニッシュや崩しに専念できますしかしこの試合では、組み立てに参加しないと自分までボールがこない状態でした。突っ立ってるだけだともったいないので、少々苦手なことに取り組んでもらう必要があったのだと思います。

 これらにより、速攻と遅攻に磨きがかかります。左に展開すれば速攻、右からは遅攻。攻撃速度を変える意識が低くても、勝手に緩急がつきますただ、チーム全員で共有するところまではいかず、クロスを上げるときに中が手薄になることも多々ありました。これは今チャレンジしていることなので、仕方ないことだと思います。

スタッツ

sofascore

www.sofascore.com

AFC公式

www.the-afc.com

Jリーグ公式

www.jleague.jp

所感

いつも通りのマリノス、というイメージを変えたい

www.jleague.jp

 この試合の解説を務めてくださった、水沼貴志さんの記事になります。自分たちが抱いた印象をわかりやすく記載されていますので、興味があればお読みください。

2試合を通して、マリノス本来のパスワークが見られない要因としては、まずパスのスピードの遅さが挙げられます。最近、特にそれを感じます。速くて正確なパスを繋げられれば、選手自体はあまり動かなくていいし、相手を動かすこともできます。そこで敵の陣形にズレが生まれ、こちらにフリーの選手が出てきますが、今はそれが出来ていないですよね。

 個人的に面白かったのは、この部分でした。

 前提として、マリノス自分たちが素早く動くことで相手を動かすチームです。なのでマリノス本来のパスワークを出すには、ボールの速度より人の動く速度が重要になります。パスを出すところに人がこないので、パスを出すタイミングが遅くなる。パススピードが遅いと感じるのは、選手たちが走れないからでしょう。

 走れないので、遅攻にチャレンジしているのだと思います。選手間の距離を近づけることで、パスの出し所を多く作る。少ないタッチ数で回すことにより、パスにスピードが生まれます。今まで走力で省略していた部分に向き合う必要が出てきました。

 後半アンロペに落としをさせたことからも、ケヴィンが遅攻を必要としていることが伺えます。その中で裕太を交代させたので、攻撃スピードも自分たちでコントロールしたいのでしょう。

 高温多湿の中、今までのリーグ戦と同じように走り続けることはできません。コンディションも上がり切っていないので、試合スピードのコントロールはグループリーグを勝ち抜くために必要でしょう。そのあたりに注目しつつ、以降の試合の変化を楽しみたいと思います。