hiro's football report

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【2022 ACL】全北現代の特徴と傾向

ベースシステム

2019シーズンの情報

 前回ACLに出場したときに2019シーズンをまとめてありますので、こちらも掲載します。2021シーズンから監督が変わっているので、その変化を見ると面白いかもしれません。

note.com

今季のベースシステム

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  • 基本的には4-1-4-1の布陣
  • 今季はイルチェンコを先発起用している
  • 点が取れないときにグスタボを入れ、強力外国籍2トップで無理やり得点を狙う
  • 昨季アシスト王のキム ボギョンは基本的にベンチスタート
  • 21年シーズンから監督がキム サンシクに交代

 全北は4-1-4-1を基本的な布陣としています。昨季は様々なフォーメーションを使い分けていましたが、今季はこの形を固定。メンバーも19年とは大きく変わっておらず、チームのベースは同じと見てよいでしょう。

 19年との違いは2つ。まず、外国籍フォワードであるイルチェンコの加入があります。後述しますが、グスタボと各々リーグ15得点を挙げる活躍ぶり。基本的に調子の良い方が先発しますが、得点が奪えないともう片方を入れて力でねじ伏せにかかることも。

 次に監督が変わったことが挙げられます。19年はポルトガル人のジョゼ モライス元監督でしたが、今は韓国人のキム サンシクが監督を務めています。こちらも後述しますが、クロス一辺倒なポルトガルスタイルではなくなりました。その要素をほんのり残しつつ、攻撃の縛りが薄くなった印象です。そこまで得点を挙げていなかったグスタボが、チーム最多得点者になったことが変化を表しているでしょう。

 ちなみに3/27現在で、リーグ戦は1勝2分3敗と調子を落としています。ウイングの人選に悩んでいるらしく、その影響からか3得点しか奪えていません。しかし中盤から後ろは選手が変わっていないので、3失点以上した試合はないです。ある程度安定した守備は健在のようです。

リーグ戦の全得点から見られる傾向(21シーズン)

得点方法

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  • クロスが最多の得点パターンだが2019年より減少している
  • セットプレーからの得点も多め
  • カウンタールーパスからの得点が2019年より増加している
ルーパスによる得点
ロングカウンターによる得点
コーナーキックによる得点

 クロスによる得点割合は2019年より少なくなっていますが、ゴール数はほぼ同じです。単に、他の方法で点が取れるようになったということになります。それは監督交代により、クロスという縛りがなくなったことが大きいでしょう。

 スルーパスからの得点は、3点がイルチェンコのアシストからになります。動画からもわかるように、得点をお膳立てできるタイプのストライカです。

 また、ロングカウンターも兼備しています。シンプルなカウンターは、外国籍選手のスピードやフィジカルを最大限活かすことができます。グスタボの得点が増えたのは、これも関係しているでしょう。

 セットプレーは8得点がコーナーキックから生まれています。蹴る場所はニアか中央への浮き球がほとんど。相手ブロックの間に入れられる、キック精度の高い選手が何人かいます。彼らのボールに頭で合わせる形になります。

 PKについては、裏抜けした選手が倒されたものが5つ。クロス関連が4つになります。これらを加味しても、裏抜けによる攻撃は持ち味の1つだと言えるでしょう。

得点者とアシスト者

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括弧内の数字は背番号
  • 外国籍ストライカが2人そろって最多得点を挙げる
  • ウインガーストライカーのハン ギョウォンは健在
  • プレースキックを含め、キム ボギョンが最多のアシストを記録
  • 外国籍ストライカーはアシストもできる
クロスによるグスタボの得点
ルーパスによるイルチェンコの得点
ロングカウンターによるキム ボギョンのアシスト

 グスタボはクロスから7点、PKで5点、その他3点。イルチェンコはクロスから4点、PKで4点、ルーパスから3点、その他4点がそれぞれの内訳になります。クロスは両名共に頭と足がほぼ半々。どちらも得意としています。

 キム ボギョンはクロスから4アシスト、カウンターが3アシスト、コーナーキックから2つ、その他1つが内訳になります。精度の高い左足と、素早く広範囲に走れるモビリティを兼備している選手です。

クロス関連について

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※『クロスを上げた位置』以外はセットプレーを含む
  • クロスを上げる位置はアーリーローポストが多い
  • 受ける位置は中央かファーが主
  • 浮き球にてで合わせる形が若干多い

括弧内の数字は背番号
キム ボギョンのクロス
イ ヨンのクロス

 クロスは深い位置か浅い位置の二択。主に関わるサイドバックインサイドハーフは、どちらからでも良質なボールを供給できます

 2019年との違いはインサイドハーフが上げ、ウイングはあまり上げないこと。ウイングは低い位置でサイドのコンビネーションに参加したり、内に絞ったりもします。クロスという明確なルールが薄れたので、捕まえにくい存在になっているかもしれません。

リーグ戦の全失点から見られる傾向(21シーズン)

失点方法

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  • カウンター裏抜けからの失点が目立つ
  • セットプレーからの失点も多い
裏抜けによる失点
ロングカウンターによる失点
コーナーキックによる失点

 相手を押し込むが故の、浅くなりがちな最終ラインは相変わらず弱点の1つです。2020年のACLアウェイ全北戦の2点目のような形が再び狙い目になるはず。

 セットプレーはコーナーキックからが4失点。ゾーンで守るので、間にドンピシャなボールを挙げられると厳しいようです。

クロス関連について

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※『クロスを上げた位置』以外はセットプレーを含む
  • 中央ファーからの失点が多い
  • 浮き球で合わせられるものがほとんど
浮き球クロスによる失点

 浮き球クロスが弱点のようです。ボールウォッチャーになることもそうなのですが、前を向いての守備でないため、跳ね返す難度が上がっています。これはラインを高くしている影響でしょう。

得失点の時間別割合

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  • 得点は後半が圧倒的に多い
  • 前半終了付近か、後半の深い時間に失点が多い

 前半は相手も体力があることと、自分たちがリスクを冒して得点を奪いにいかないため、得点が多くありません。主な得点は後半。時間が深くなるにつれて増加しているのは、強力外国籍2トップの影響でしょう。最後に取り切る力があるチームだと言えます。

 失点については前後半の深い時間に多いです。コンパクトな陣形を組む体力や集中力が切れる時間帯がこのあたり。特に後半に顕著なことから、1試合通して同じパフォーマンスを維持することが難しい様子。攻撃的になる分のリスクかもしれないですが、深い時間は狙い目になるはずです。

各種リンク

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 2021シーズンのK1リーグハイライトになります。

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