hiro's football report

国内外、カテゴリー問わなずサッカーのマッチレポート風なものを掲載

【2021 J1 第35節】横浜F・マリノス vs FC東京

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スタメン

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横浜F・マリノス

  • 前節から3人の先発メンバーを変更
  • 角田が今季初のメンバー入り

FC東京

  • 前節から4人の先発メンバーを変更
  • レアンドロと渡辺が先発に復帰

得意な土俵を与えられたマリノス

広い空間を与える守り方をする東京

 前節、東京はハイプレスをかけることで清水を圧倒しました。その影響か、早い時間帯に複数得点を挙げます。

--先制点のシーンのように高い位置で奪う練習はしていた?

自分たちのストロングポイントである、前からどんどんプレッシャーを掛けるプレーはできたと思う。その中で私が奪って(安部)柊斗選手とのコンビでゴールを決められたので、これからも続けていきたいと思います。

 アダイウトンのコメントから、ハイプレスへの自信が伺えます。そして、直近のマリノスは相手のプレスに苦しんでいる状況。この試合、東京がハイプレスをかけることは予想通りだったでしょう。

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  • ボランチに加え、センターバックも前に出て人を捕まえる
  • これにより、中央のフィルターがない状態で最後方が同数になる
  • マリノスのスピードある選手が駆けっこで勝負できる

 この試合のハイプレスも、前から人を捕まえる形でした。Wボランチが双方とも前に出ていく。空いたトップ下はセンターバックが対応。その結果、一番後ろが同数になることも。かなりリスクある守り方でした

 直近当たったチームはハイプレスを仕掛けるものの、一番後ろの数的優位は確保していました。それを同数というのは、一番近くて札幌だった。と言えば、いかに極端な守り方か伝わるでしょう。

 このリスクが表れたのは、先制点の場面。相手が前から来るので、中央のフィルターがない状態。アゴが長いボールで一気に盤面をひっくり返せたのも、パスを通すスペースが真ん中にあったから

 ここを抜ければヨーイドンの駆けっこが始まります。抜け出しに優れる仲川と大然がいたので、効果は抜群。これだけスペースがあれば、彼らのスピードは活きやすいですよね。

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  • 押し込んだとき、2トップの守備圧力が緩い
  • 守備の方向付けができず、広い範囲を守ることになる

 リスクあるハイプレスを仕掛けていましたが、ブロック守備も整ってなかった印象。2トップの守備圧力が緩いため、ボランチが自由にボールを持てました。その結果、パスの選択肢が豊富になります。

 今まではここの守備が献身的で、どちらかのサイドに誘導されていました。それがないので、後方の選手たちはどこにくるか予測できない状況。結果、一人あたりが受け持つ守備範囲が増加します。広い空間を守らなければならないことに。

 このように、マリノス速攻でも遅攻でも、広大なスペースを享受することができました。正直、やりたい放題です。攻撃が活性化した最大の理由は、ここにあったと思います。

守り方に伴わないコンディション

  • 素早い寄せでハイプレスをかけ続ける走力
  • 同数を許容するので、1対1で負けない強度
  • 各々が広い範囲を守るので、縦横無尽に走る献身性

 今回の守り方に必要なものが上記です。しかし、この日の東京はどの選手もコンディションが良くないように見えました。相手に振り切られてファールする森重。ティーラトン相手に競り負けるディエゴ。このあたりは最たるものだったでしょう。中2日でのコンディション差如実に出ていたと思います。

 そういったことに加え、選手の守備適正を考えて前線の配置を変更したのでしょう。ディエゴはファーストプレスはうまいですが、中盤としての守備はそこまで。両サイドは献身的に上下動しなければいけないため、まじめで走力のある永井を配置。試合開始時と異なる位置取りをしたということは、事前にあったプランがある程度破綻した証左でしょう。それだけマリノスは相手を苦しめたのだと思います。

マリノスの守りやすいカウンター

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  • 両翼が中央に寄るので、マリノス守備陣が動かされにくい
  • 後方から外へ勢いを持って上がる選手がいない
  • 直線的な攻めなので、試合のテンポが上がる
  • サイドに展開され、空いたライン間に入れられる攻めがやられて嫌だった

 ガンバ戦と違い、外側を使われることが少なかったです。後ろから駆け上がる選手もいないため、マリノスとしては中央を封鎖しておけばよい。東京の両翼は内側に入る傾向があるので、守りやすかったと思います。

 その結果、直線的なカウンターが多くなります。迂回しない分、攻撃の時間が短くなる。言い換えると、試合のテンポが上がる攻め方です。これに加え、前述した広大な空間。まさにマリノスの得意とする土俵で試合を行えたのです。

 やられて嫌だったのは、サイドからの攻めでした。右図のように、サイドチェンジでこちらのハイプレスをひっくり返される。そうするとライン間が空くので、中央を抜け出すパスが通ります。逆サイドに展開されると、センターバックが引っ張られることに。そこを突かれたのが前節倉田のゴールでした。

 機を見てサイドバックが猛スピードで上がる。なんてことをやられていたら厳しかったですが、それはほとんどありませんでした。前述したコンディション問題が主因でしょう。ここでも差が活きた形になりました。

スタッツ

sofascore

www.sofascore.com

SPAIA

spaia.jp

Football LAB

www.football-lab.jp

ラッキングデータ

www.jleague.jp

所感

前節の反省を活かしたマリノス

 この試合は、サイドに人数をかけることが多かったと思います。相手を動かし、サイド深くを取る。前節にマルコスや扇原しかやってなかったことを、全員でチャレンジしていた印象です。

 特に2点目のPKに繋がったシーンがわかりやすいでしょう。人数をかけることで、相手中盤を引っ張る。ライン間が空くので、前線にパスを入れるスペースが生まれます。仲川が背後へ抜け出したことにより、大然の斜め前が空く。これによってセンターバックが動かされ、森重がファールしてしまう。久しぶりに配置で殴る様を見ることができました

--先日、「勝者のメンタリティーを見せる」と語られていた言葉どおりの試合でした。その要因は何でしょうか。

勝つために、そして90分終わったあとに喜ぶために、一人ひとりがチャレンジする力強い気持ちを持ったり、ボール保持者がチャレンジするための準備がすごく良かったです。それが勝者のメンタリティーにつながりました。全員のサポートがあったからこその結果ですし、それがチームの差となりました。

 小池もこのようにコメントしていました。全員がチャレンジする気持ちを持つということは、積極的にプレーするということ。そして、ボール保持者がチャレンジするための準備は、周りの選手がサポートできる位置にいるということ。

 この試合でパスがテンポよく回ったのは、選手間の距離がよかったからでしょう。つまり、孤立することが少なかった。周囲に多くの選手がいることで選択肢が生まれますし、自分がミスしてもカバーしてもらえるという心の余裕もできる。まさにチームとして勝ち取った勝利だったでしょう。

 ただ、この日の東京はコンディションが悪かったこともあり、マリノスとしてはやりやすい状況でした。そうでないときに、これをどれだけ発揮できるか。真価が見れるのはもう少し先なのかなと思います。