【2021 J1 第9節】ベガルタ仙台 vs 横浜F・マリノス
スタメン
ベガルタ仙台
- アピアタウィアが累積警告で出場停止
- 代わりに吉野が入る
- それ以外は前節と同じスタメン
横浜F・マリノス
- 前節から喜田が岩田に変わったのみ
- 負傷離脱していたマルコスがベンチ入り
試合のポイント動画
【2021 J1 第9節 仙台vsマリノス】
— ヒロ@hiro17 (@hiro121720_yfm) 2021年4月12日
✅仙台の攻撃方法 pic.twitter.com/JgQOUogAMR
リスクとセーフティの狭間にて
絶妙な仙台の守り方
- 4-4-2でブロックを組んでゾーン基調で守る
- ボールの近くにいる前にいる相手を捕まえる
- 西村と赤崎は縦関係になることも
- ディフェンスラインも高くし、縦横に圧縮したコンパクトな布陣
ベースはゾーンなのだが、近場の相手は前向きに捕まえる形。背後に入る相手をあまり気にしません。なので、マリノスがいくら動こうとも、相手のブロックは中々形が崩れない状況が続きます。
Jリーグの中でも上位に入るくらい攻撃のスピードとパワーがある横浜FMに対して、まずは全員守備をコレクティブにやっていこうと。その中で彼らのスタイル、相手のオーガナイズを釣り出そうとするサッカーに対して、なるべく釣り出されないようにコミュニケーションをとってやろうとしました。
手倉森監督のコメントからも、これが仙台の狙いであることがわかります。恐らく今季ぶつかった中で、一番整理されたゾーンディフェンスだったのではないでしょうか。
ボール近くは人につくので、人数をかければ数的優位で崩すことができることも
ただ完全なゾーンではないので、マリノスお得意のサイドに人をかける形が取れれば崩すこともできました。湘南戦とセレッソ戦の文脈から考えると、ボランチがいかに上がれるか。これがキーになりそうですよね。特に前節はそれを実行していた印象です。
前に出たいけど行ってしまうと…
前に人数をかけたいマリノス。特にボランチは積極的に出ていきたい状況でした。しかし、気軽にそうできない理由もありました。
- ゾーンな相手に動きすぎると、攻守が入れ替わったとき不利になりやすい
- 相手の攻撃起点が中盤と守備陣の間だったので、迂闊に空けられない
例えば、サイドバックが相手サイドハーフの背後を取ったとしましょう。この状況で相手が釣られて下がれば敵陣に押し込めますが、ゾーンだとそうはならない。その状況で攻守が入れ替わると、自分たちの方が守るべきゴールから遠ざかっている状態になってしまいます。これだと失点のリスクが上がりますよね。これが前者です。
後者は動画にした通りになります。ボランチが中央を空けると、そこを起点に相手に攻められてしまう。前節の後半を思い出してください。清武がトップ下に移行した後、セレッソがボールのおさめ所を見つけたのと同じ状況です。このあたり、仙台はスカウティングしてきたんだなと感じました。これにより、ボランチが中央を離れるリスクが増すことに。
点を取るなら高い位置に人数を割かないといけない。しかしそれにお付き合いしてくれないし、なんならそうやって空いた箇所を狙っている。動けば動くほど、失点のリスクが高まることに。この矛盾があるような天秤は、ルヴァン杯広島戦以降のテーマです。そして扇原が選択したのは、失点のリスクを減らすことだったでしょう。
前節とヒートマップを比較すると、明らかに後ろでのタッチが増えていました。この試合では3バック化することが多かったですよね。これは相手に奪われても、最終ラインで数的不利を起こさない予防策だったのでしょう。
これはチームとして行ったのではなく、扇原個人の判断だと思います。岩田はガンガン上がってましたしね。扇原の性格と、相手の狙いがわかる洞察力の高さからそのようになったのだと推察します。
縛りがある中でのブロック崩し
縦横圧縮なら長いボールを使えばいいじゃない
- ハイラインの裏を突くロングボールで一気に抜け出す
- 逆サイド大外は空きやすいので、サイドチェンジで大きく展開する
縦にも横にもコンパクト。中にはスペースが全然ない。そんな状況でも空いてるところはあるじゃないですか。そうです、ボールから遠いところになります。相手のブロックが動くより先に、一息にそこを突ければ急所をえぐることが可能。ロングボールは有効な解決策の1つでしょう。
この試合は、ボスが前半の飲水タイムから積極的に指示を出していたのが印象的でした。大きな身振り手振りから、上記のような攻め方を指示していたのかもしれません。特に畠中がサイドチェンジをした右図。こちらは飲水タイム直後のプレーなので、言われたことを実践してるのかなと感じました。
自分たちがオープンになって相手もオープンにさせちゃおう
この試合でボスは速い時間帯から3人を替えます。下がったのは扇原、天野、仲川になります。前線の交代は既定路線ですが、扇原の交代は違いますよね。誰よりも守備でバランスを取っていた彼を下げ、攻撃に持ち味のある皓太を投入。これって前節の交代策と真逆ですよね。
自分たちの守備が崩れるくらい攻撃していいし、その分相手に攻撃されてもいい。とにかくボールが互いの陣形を行き来する状況が作りたかったのだと思います。
しかし動画にした通り、仙台の攻め方は段階的になっています。なぜそうしたかというと、試合をオープンなものにしたくなかったから。また、守備の安全性を担保したかったからでしょう。選手交代による混乱で最初の10分ほどは敵陣に迫れましたが、それ以降はさっぱり。マルティノスをサイドではなく、前線で交代させたことからも徹底ぶりが伺えます。
マルティノスがサイドに入り、マルコスが投入されてからオープンな展開に。その短い時間で試合を決めきることができませんでした。
スタッツ
sofascore
SPAIA
Football LAB
トラッキングデータ
所感
他にもあった有効手段
縦横圧縮した相手に対しては、広い範囲で素早くパスを回すことも効果的です。相手ブロックのスライドが間に合わないうちに攻めちゃう形ですね。しかし、この試合でマリノスのパススピードは遅かったように感じました。
難しい試合になりました。ピッチコンディションも含めてコントロールが難しかったです。(中略)今日であればピッチコンディションにも難しさがありました。
ボスがピッチコンディションについて触れたのは、そういったことが理由でしょう。水があまり撒かれず、芝が長いとボールが走りません。実際どうだったかは現地にいなかったのでわからないですが、そういうことだったのかなと。これがアウェイの洗礼ですよね。こういった試合で負けなかったことが大事だと思います。
同じ課題と違うディテール
- 敵陣に押し込む
- 固いブロックを組んで迎撃される
- 中々点が取れない
大別すると、ここ3戦は全て似たような状況だったでしょう。しかし対処しなければいけないことは、全て異なっていました。
攻撃にどのくらいリスクをかけるかと、先制後の対応方針
リスクを負って攻撃し、先制後の意思統一を図る
攻撃に人数をかけられない状況で引いた相手をどう崩すか
同じテーマの舞台でも、演じる役者が違えば見える景色も変わりますよね。そんな感じです。異なった状況でも負けなかったのは、一定の評価を与えられると思います。
自分たちのやっているアプローチは間違っていないと思いますし、選手たちはしっかりやってくれたと思います。シーズンが始まって、悪い試合は1試合しかなかったと思います。それは開幕の川崎フロンターレ戦だと思います。ルヴァンも含めて調子は上がってきていますし、続けていくことが大事だと思います。
ほら、(どこまで本気かわかりませんが)ボスもこう言ってますし。こういった試合をものにできたとき、チームは強くなるんだと思います。自分たちはまだその途上にいるのでしょう。
さて、次の札幌戦はまた違うテーマに直面します。固い相手を崩すこととは別のことを要求されるでしょう。ガラッと変わりますが、どこまで対応できるか楽しみです。
【2021 J1 第8節】横浜F・マリノス vs セレッソ大阪
スタメン
横浜F・マリノス
- 前節から4人を代えて中2日の試合に臨む
- 好調の天野がトップ下に入る
- 水沼がメンバー入り
セレッソ大阪
- 前節から3人を代えて中3日の試合に臨む
- 大久保、丸橋、瀬古という中心選手がメンバー外に
- クルピ監督が不在
前節の反省とリスクのかけ方
珍しい喜田の上がり
- 普段なら味方が空けたところを埋める黒子役な喜田
- そんな彼が低い位置にいるだけでなく、積極的に前へ上がる
- なんなら右ハーフスペース突撃を何度も狙っていた
この動きに驚いた人は多いのではないでしょうか。いつもは皓太や扇原がよくするプレーですよね。サイドバック込みで彼らが自由にやる反面、喜田はいつも空いたところを埋める縁の下の力持ち。そんな彼がこのような動きをしたのです。それも何度も。
前節はどのくらいセーフティにやるか、選手たちに委ねられつつあると書きました。今節もその流れがあったでしょう。湘南相手に多くのチャンスを作ることができなかった。それならリスクを冒してでも、敵陣に入る選手を多くしよう。恐らくこういう考えが1つの案としてあったのだと思います。
ベンチから客観的に試合を見ており、途中交代で実践もできた。この体験があったからこそ、こういった発想が出たのでしょう。この挑戦が成功しようが失敗しようが、前節を糧にしたことだけは確かなものになるはず。この流れは2019年を思い出しますよね。
相手を見てリスクの度合いを決める
セレッソの2トップは自陣守備も精力的に行うため、こちらが人数をかけると引っ張ることができます。なので全体的に高い位置を取っていても、後方が同数という場面は少なくなる。カバーする選手を残せることで、守備が安定します。
これをどこまで狙っていたかは気になるポイントでしょう。相手がこういった守り方をするからこちらもリスクを冒せる。そういった判断ならば、相手を見てサッカーができていることになります。実際はそういったことが半分。もう半分はたまたまそういう状況になっただけなような気がしますが…これも『相手を見る』という今季のテーマですよね。
意思の共有と統一
ボランチの動きは喜田だけじゃない
- 喜田が上がらないときは扇原が上がることも
- 交代で入った岩田も、喜田のように高い位置でプレーすることをいとわない
前半から何度も前に走っていた喜田。さすがにあの強度は1試合もたないですよね。彼が上がらない(上がれない)ときは、扇原が前線に出て崩しに参加することもありました。よく見た光景ではありますが、喜田と同じプレーをしっかり共有できていた証ではないでしょうか。
また、交代で投入された岩田も喜田と同じようなプレーをしていました。負けないために守備を安定させ、リスクを下げるやり方もあったはず。しかしベンチから喜田のプレーを見て、それがセレッソ相手に有効だと感じたのでしょう。同じくリスクを冒して攻撃の手を強めました。
試合をよく見ていた岩田の意識の高さ。ベンチに模範を示した喜田のプレー。これらが備わっていたからこそ、選手が代わっても同じ攻撃を続けることができたはず。控えまで意識が高いことが伝わりました。
リードしてからどうする?
- リードしてからも攻めようという意思を全員が持っていた
- これが統一されてないとバラバラな組織になり失点していたかも
先制したあとの振る舞いも、前節課題に残ったところでした。そんな彼らは攻め続けることを選択。上図の場合、もし逃げ切るならオナイウはキープするし、岩田は上がらないでしょう。しかし、ゴールに向かった岩田へパスが通りました。これは2人が同じ意思を持っていた証。このやり方は実にマリノスらしいと言えるでしょう。
別に攻め続けたことが正解というわけではありません。全員で守備に比重を置いてもよかったと思います。全体の意思統一ができており、個々でバラバラにならないことが重要でした。それを実行できたのはよかったのではないでしょうか。
このようにセレッソ大阪が引いてスペースがない状態のなかでもチャンスを作れたということは良かったですし、最後まで試合をコントロールするということも必要でした。試合をしっかりコントロールするということが今日の課題だったと思います。
湘南戦に関してはゴールを奪った後、いつもの前向きな姿勢というよりかは少し後ろ向きになってしまってコントロールができなかった。そういうところで引き分けに終わってしまったと思います。
ボスもこのようなコメントを残していました。後ろ向きではなく、最後まで前向きな姿勢を評価したのでしょう。マリノスらしいアタッキングフットボールができたのではないでしょうか。
ボスの起用法から察する彼なりのチーム作り
手綱を握るボス
セレッソを押し込んでいるが得点できない展開。そういった中、ボスは選手を3人代えました。仲川から水沼への交代は実質的に一択ですが、その他はそうではなかったはず。
- オナイウに代えてボランチのどちらか。天野を一列下げるという選択もあった
- 喜田との交代は皓太や和田という選択もあった
相手の急所にパスを出せ、攻撃で違いを作れる天野をボランチに残した方がより攻撃的だったでしょう。しかし彼が交代させられ、喜田と扇原が残りました。
また、喜田との交代は皓太や和田という攻撃面に強みのある選手を入れることもできたはずです。しかし、一番守備能力の高い岩田が投入されました。
これらの交代ってセーフティ寄りでしたよね。是が非でも得点を狙う場合、攻撃的な采配で火力を上げるのが普通。しかしボスはそうしなかった。
うーん、ちょっとみんな積極的すぎかな。これだと前掛かりになりすぎてる。少したしなめる意味も込めて、リスクを加速させない方向で選手交代をしようかな。
もしかするとこう考えていたのかもしれません。たしかにこの試合は攻めっ気たっぷりでしたよね。さすがにいきすぎだということで、火力重視にならないような交代を行った。こう考えると割としっくりくるんですよね。
なるべく選手たちに考えてもらいたいですが、完全に放置するというわけではないのがボスのやり方。いきすぎたら止めてくれる父親のような存在なのかもしれません。
キーパー選出の基準を考えてみる
今季はオビが第一ゴールキーパーで、第二が高丘というのがボスの選択になっています。それぞれの特徴を見てみましょう。
- 高い反射神経に裏付けされるシュートセーブの安定
- キック力があり、一気に相手背後へボールを蹴ることもできる
- アジリティがあり、ハイライン背後を埋めることができる
- 足元の技術が高く、後方での組み立て参加もいとわない
セーブ能力はそのままわかりやすいですよね。キック力があるとビルドアップを省略することができます。後ろから繋ぐよりマイボールになる確率は下がりますが、危険な位置で失うリスクが低くなるメリットも。
なので端的に言うと、守備を考えるならオビ、攻撃を考えるなら高丘が優先されるでしょう。そしてオビが優先されているということは、攻撃より守備を第一に考えているのかもしれません。
去年は44試合中8試合が無失点。今季は9試合行われましたが、既に5試合で無失点を記録。このことからも、守備に意識を向けていることが伺えます。
そしてこういった考えのもと、高丘が無失点に抑えたことは大きな意義があるでしょう。後半のFKは失点ものでした。それを防ぎ、1点を入れて勝利。なんか去年の広州恒大戦を思い出しませんか?あのときはオビが、今度は高丘が。足元に加えて守備能力の高さを示せば鬼に金棒。チャンスを見事ものにしたと思います。
スタッツ
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SPAIA
Football LAB
トラッキングデータ
所感
上位陣へ勝つことができた
セレッソに対し、10年振りの勝利になりました。それだけでも十分な価値がありますが、上位陣に勝ったことも忘れてはいけません。去年はことごとく負けましたからね。リーグ戦をいい順位で終えるにあたり、上位陣への勝利はマストになります。今季はそういう強みを見せてくれるかもしれません。今後も期待したいところです。
【2021 J1 第7節】横浜F・マリノス vs 湘南ベルマーレ
スタメン
横浜F・マリノス
- ルヴァン杯の負傷からか、マルコスがメンバー外
- 大然が先発に復帰
- 代表帰りの畠中と皓太も先発へ
湘南ベルマーレ
- 前節と同じ先発メンバー
- 代表帰りの谷も先発へ
この試合で感じた違和感
組み立て時の位置取りが違う?
- ある程度の高さになったらサイドバックは自由に動く
- 扇原はアンカーのように振舞うが、皓太は自由に動く
今までに比べて、組み立て時における選手の立ち位置が変わったように見えました。サイドバックは必ず外側にいるわけではなく、内側高い位置を取ることも。ボランチも2人が中央低い位置におらず、片方は高い位置を取ったりする。「こんなにポジション崩してたっけ?」そんな違和感を感じました。
今まで低い位置を取っていたのは、相手に奪われたことを考えてなはず。仮にパスが引っかかったとしても、こちらは数的不利になりにくいので守れる公算が大きい。外側で奪われるのは、中央よりリスクが低いこともあります。自分たちが動かないので相手を動かしにくいデメリットはありますが、安定性を取った結果だったのでしょう。もしかすると、この試合ではそういった指示がなかったのかもしれませんね。
あまり相手を見なくなった?
- 湘南は攻撃時に3-1-6のような形になる
- 前に人を割くため、カウンターを受けると後方は手薄になる
- 相手の戻りより、こちらの上がるスピードが上回ればチャンスになりやすい
湘南は攻撃時にウイングバックとインサイドハーフを上げて3-1-6のような形を取ります。前に人数をかけた状態を作り出し、必要に応じて前線が動いてパスコースを作り出す。分厚い攻撃ができる代わりに、攻守が入れ替わった瞬間は後方が手薄になってしまいます。そのため、ある程度引き込んでからのカウンターが有効打になりやすいです。
得点したときも、そのあとにあった大然のヘディングによる決定機もカウンターによるものでした。スピードのあるマリノスにとって、このように攻めることが湘南相手には効果的だったでしょう。しかし、その数は多くありませんでしたよね。
- 湘南は選手を高い位置に上げる時間が必要
- 4-2-4という前に多く人を割いた配置
- さらに大然を起用したのでプレス開始タイミングと速度が上がる
- 敵陣でのパスミスがあまり多くなかった
これらの理由から、湘南が可変する時間があまりなく、マリノスが即時奪回しやすい状況が多かったです。敵陣でのパスミスも少なかったことから、相手を押し込むような展開が続きました。
自分たちが攻めやすい状況まで待ち、それが整ったら攻勢をかける。今までの試合はそれができていましたが、この試合はあまりなかったように思います。まぁこの日のスタメンではこうなりやすいのもありますが…
今までとこれからの狭間
ということで、今季取り組んでた要素が薄まったように感じた試合でした。しかし全くなかったかというと、そうではないと思います。
全て昨季に戻ったわけではない
ある程度高い位置までいったら自由に動いていましたが、自陣深い位置だと小池と岩田は気を遣っていたと思います。例えば上図だと小池は低い位置外側に、岩田は近くに相手がいなかったので上がっています。これは状況を見た的確な判断でしょう。
昨季までだったら、この段階でサイドバックが内側高い位置を取っていたことが多かったです。その状態で畠中の縦パスが相手に奪われ、残っているのはセンターバックの2人だけ…なんていう状況は、今季ほとんど見れらないですよね。
プレスにしてもそうです。昨季はマルコスやエリキが単騎特攻してましたが、今季は全員で足並みを揃えて奪うことができています。これも明確な変化で、セーフティかつ組織として動いていることが伺えます。
実はルヴァン杯広島戦から変わっていた
実はこの変化、先日行われたルヴァン杯広島戦でも同じだったのです。ただ、5-0という快勝がそれを見えにくくした部分はあると思います。その理由は以下でしょう。
- 抜群のカバーリング能力がある喜田の復帰
- 相手を見ながら攻撃箇所とスピードを変える天野の緊急登板
- 後半はオープン上等になった広島のやり方
組み立てに失敗しても、喜田がカバーしてくれるので自由に動いてもリスクが下がる。味方と敵の人数を確認し、手薄な箇所を的確に突く天野。彼がそうすることで、相手を見たサッカーができている感覚になりやすい。そして後半からオープンにした広島のやり方は、こちらの土俵。これだと違いに気付きにくいですよね。
「今までの試合で今季の方針は伝えたし、私が方向を示せばそれを実行して勝てることもわかった。それならあとは君たちで塩梅を考えて戦ってみなさい」ボスとしては、こういう方針なのかもしれません。
今までは必ずセーフティにやり、相手の弱みを突くことをしてきました。その必ずがなくなり、今までやってきたこととうまく融合させるのが今後課されたボスからの問いなのでしょう。
ルヴァン杯仙台戦のときに、水沼がこんなことを言っていました。
監督が大枠を決めてやることを示してくれているので、それをピッチ上で選手たちが、何が足りないのか、やるべきことは何かを考えないといけません。
この大枠の部分がより大きくなった、またはなくなったのではないでしょうか。今まであった決まり事をどのくらい実践するか。その判断が現場に委ねられた感じですかね。全ての問いに公式を当てはめるだけでしたが、今後はそれを基礎とした応用問題に取り組む段階。しばらくは試行錯誤が続くと思います。我々もそうやって最適なものを見つけてきましたしね。
スタッツ
sofascore
SPAIA
Football LAB
トラッキングデータ
所感
今後の行方や如何に
たぶん今みたいに約束事を絶対なものにせず、それでいて布陣までも現場で決めさせようとしたのが開幕戦だったのでしょう。そりゃ難しいわけだ(笑)さすがにやりすぎだったので、一旦両方とも決めるようにしてみたところ、リーグ戦で3連勝。じゃあ次の段階いってもいいかな。というのがボスの感覚なのでしょう。
別にこの試合は危険なカウンターを多く受けてないですし、チャンスが全く作れなかったわけではありません。しかしそれぞれ満足いく結果かというと、そうでもないですよね。なので、悪くなかった試合だったと思います。
気になるのは、この試合を受けてボスが次にどうするかです。今まで通りもっと自分が言及するのか。それともこの試合のように進めていくのか。セレッソ戦でボスの満足度がある程度伺えるかもしれません。
自分たちはセーフティに。そして相手の弱みを突く。こうして言葉で書くのは簡単ですが、実践するのはものすごく難しいことだと思います。一朝一夕でいかないようなことをしているのに、今まで培ってきた概念と真逆なのがなんとも…そりゃ選手たちは苦労しますよね(苦笑)こういった背景があることを忘れず、これから見守っていきたいと思います。