hiro's football report

国内外、カテゴリー問わなずサッカーのマッチレポート風なものを掲載

【09-10 CL 準決勝 1st Leg】インテル vs バルセロナ

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スタメン

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インテル

バルセロナ

  • 4-5-1の布陣
  • メッシをトップ下に据える
  • ケイタをサイドで起用

インテルの守り方

基本的な対応方法

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  • 最終ラインはリトリート
  • 中盤との間が空いても気にせず、DFはほとんど前に出ていかない
  • メッシは可能な限り2人で見る

 インテルは基本的にはリトリート。特に最終ラインはベタっと後ろに下がります。中盤との距離が空いても気にしないほど前に出ていかない。徹底してペナルティエリア付近を固めます。

 全体的にマンツーマン志向。前線の選手がパスコースを塞ぐときも、近くの相手に1人ずつついていました。

 また、メッシはなるべく2人で見るように意識を強める。時にはスナイデルが下がって挟み込んだりなど、ポジションに囚われません。

 このようにして、中央と固めつつ、相手エースを塞ぐ意図が見えました。

クロス対応方法

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  • SBがクロッサーに対応するため外に出る
  • 逆サイドのSBは中に絞りクロスに備える
  • ボランチも下がってマイナス方向や中央をプロテクト

 クロス対応は基本に忠実でした。クロッサーに対してサイドバックが出ていく。中央はサイドバックの絞りと、ボランチの帰還でガッチガチインテルサイドバックは、マイコンが183cm、サネッティが178cm。中々のサイズがあります。これも相まって、安定した守備を行うことができていました。

バルセロナの1点目

 バルセロナの1点目は、インテルの守り方に対する1つの答えだと思います。こちらを見ていきましょう。

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POINT

メッシはなるべく2人で見たい ⇒ カンビアッソメッシとマクスウェルの中間を取る

 平時なら迷いなくマクスウェルに向かうでしょう。しかし中央にいたのはメッシ。カンビアッソはどうしても気になってしまいます。彼が出した答えは2人の中間を取ること。しかしそれを見逃すシャビではなく、素早い判断とパスでマクスウェルにボールをつけました。

POINT

マクスウェルがローポストまで侵入 ⇒ マイナス方向が空く

 ボールを受けたマクスウェルはそのままドリブル。サイド深くをえぐり、ローポストまで侵入。たまらずルシオが飛び出し、守備陣形がガタガタに。マイナスでフリーだったペドロへボールを送り、インテルゴールへシュートを突き刺しました。

 メッシ2人マークの利用。中央固め相手に対してのローポスト侵入。それぞれこの日のインテルを崩すのに最適な行動の1つだったでしょう。

両チームをスタッツから見る

 両チームのスタッツを見ながら、どのような意図や結果があったのか。両チームについて確認していきましょう。

クロスについて

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クロスを上げた位置(橙:インテル 青:バルセロナ
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クロスを上げた選手と割合(左:インテル 右:バルセロナ
インテル
  • 右サイドからのクロスが多い
  • エトーマイコンで5本と、上げている選手も右サイドの選手が多い
  • 前線4人+マイコンしかクロスを上げていない

 クロスを上げている位置や選手を見ると、右サイドから主に攻めていたことがわかる。また、前線4人とマイコンしかクロスを上げていないことから、堅守速攻を強く意識していたことも伺えます。

バルセロナ
  • 両サイドからクロスが多く上がっている
  • ローポストからのものが少ない
  • 主に上げている選手は両サイドバック、特にDアウベスが多い

 主に両サイドバックが多くのクロスを供給しています。特にDアウベスからのものが多い。しかし、前述したローポスト付近からのものが少なく、サイド深くをえぐれていないことがわかります。

シュートについて

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シュートを撃った位置(橙:インテル 青:バルセロナ
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シュートを撃った選手と割合(左:インテル 右:バルセロナ
インテル

 エリア内からのシュートが多い結果に。Dミリートスナイデルのシュート本数が多いことから、中央の選手がフィニッシュに顔を出せていたことがわかります。

バルセロナ
  • エリア外からのシュートが多い
  • 主なフィニッシャーはペドロやケイタ

 エリア内より外からのシュートが多かったです。選手別に見ても、ペドロやケイタが多い状況。メッシは2本イブラヒモビッチにいたっては0本。いかに攻撃がうまくいかなかったかが伺えますね。

ヒートマップとインテルの攻撃位置

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POINT

インテルバルセロナサイドバックが上がった裏を入口としていた

 インテルの前線4人はサイドからの色が濃い。バルセロナサイドバックはサイド高い位置の色が濃い。このことから、インテルカウンター時にサイドバックの裏を入口としていたことがわかります。

インテルのクリア数とメッシのタッチ位置

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インテルのクリアした位置と選手別割合

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メッシのタッチ位置
POINT

インテルエリア内を固めており、メッシはその付近で仕事をさせてもらえなかった

 インテルのクリア位置はペナルティエリアが多い結果に。このことからも、リトリートし、エリア内を固めていたことがわかります。また、クリアした選手を見るとほとんどが4バック。しっかり絞って跳ね返していたことを表しています。

 メッシのタッチ位置を見ると、得意の右ハーフスペースが多いことがわかります。しかし、エリア付近のものが少なく、トップ下としても、偽9番としても決定的な働きがあまりできなかったように思います。

所感

 撤退して中央を固め、カウンターによってバルセロナを仕留めたインテル足の速さ体の無理がきくエトーをサイド起用したことがハマっていたと思います。今まではそれをフィニッシュで活かしていましたが、この試合ではクロスに活用。モウリーニョの手腕が伺えますね。

 対するバルセロナは堅い中央を崩せなかったことと、左サイドの弱さが露呈した印象でした。スカッドを考えると打ち手が少なくイブラヒモビッチを封鎖されたことが辛かったように思います。

メッシ偽9番について

 前述した通り、中盤との間を気にしないリトリートだったため、メッシが偽9番の位置に入ってもインテル守備陣にズレは生まれませんでした。ペップとしては、サイドを攻略するより、中央に空きを生みたかったのでしょう。しかし最後まで自分たちのプランを貫いたインテルに軍配が上がりましたね。

バルセロナの打開方法は?

 個人的には1点目の方法がベストだと考えています。ローポストをえぐってマイナスのクロス。これを繰り返したかった。しかし、このときのバルセロナそれを実行できるだけの強力なウイングがいません。1点目のようにマンツーマンを利用して前後に入れ替わる方法も徐々に通じなくなっていく始末。となると、中央攻略しか糸口がないように感じます。

 力の権化とも言えるイブラヒモビッチを擁しているので、そこに活路を見出したかった。しかし、ルシオやサムエルに封殺されてしまう。この時点でバルセロナは詰みに近かったでしょう。彼の質的優位を封じ込めたインテル守備陣の奮闘が素晴らしかった試合でした。

参考サイト

whoscored

https://www.whoscored.com/Matches/397393/Live/Europe-Champions-League-2009-2010-Inter-Barcelona

【08-09 プレミアリーグ】リヴァプール vs アーセナル

スタメン

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リバプール

  • 4-5-1の布陣
  • ジェラードが怪我で欠場。代わりにカイトが先発
  • ほぼベストメンバー

アーセナル

シュート分析

xGについて

 両チームのxGについて、簡易的なものでありますが、WEBサイトより算出しました。

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  • 2.38 : 0.99 が最終的な数値
  • 2-1 もしくは 3-1 が妥当な試合だったと言える

 数値を見ると、4-4の試合とは思えないものでした。互いに低いxGでもゴールを決めたということになります。リバプールの1点目は0.04アーセナルの2点目は0.08と、非常に低い数値でした。

 また試合内容の印象通り、リバプールの方が多くのチャンスを作っていたことがわかります。xGも倍近く差があるため、質が高かったことも伺えますね。

リバプールのシュートについて

枠内とエリア内の比率

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 シュート数は22本を記録。60%弱が枠内、70%弱がエリア内と、多くのチャンスを創出。アーセナルを圧倒していました。

シュート位置

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 シュート位置を見ると、エリア内でも角度がついているところから何本か撃っていることがわかります。また、エリア外のシュートはことごとく枠を外れている状態。これらがxGの伸び悩みに繋がったのでしょう。

 また、この試合ではファビアンスキーのセーブが光りました。リバプールのシュートコースが甘かったこともありますが、8セーブは見事な数値。引き分けの立役者はアルシャビンだけではなかったように思います。

シュートを撃った選手

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 トーレスが最多本数を記録。次いでベナユンとなります。この2人だけでチーム全体の半分を占めている。2点ずつ取ったのも納得ですね。フィニッシャーとして中心にいたのは彼らだったでしょう。

シュートシチュエーション

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 ドリブルで相手をかわしてシュートへ至ることが多かったようです。次いでクロスやコーナーキックが多い。サイドへ展開してからクロスよりも、中央付近へ向かうドリブルを好んでいたようです。長いボールを蹴ることも多かったので、その影響もあるでしょう。

アーセナルのシュートについて

枠内とエリア内の比率

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 リバプールの22本に比べ、7本だったアーセナル。主導権がリバプールにあったことが伺えます。それでも半数以上を枠内かつエリア内で撃てていたため、チャンスの質は悪くなかったのではないでしょうか。

シュート位置

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 2つのミドルシュートを除くと、他はエリア内や近くで撃てていることがわかります。枠内におさまった4本は全てアルシャビンのもの。それをゴールに繋げたことも含め、決定力の高さが素晴らしかったです。レイナのセーブ数も0と、この試合ではあたっていませんでしたね。

シュートを撃った選手

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 前述した通り、半分以上アルシャビンが撃っている状況でした。相手のミスを逃さずきっちり決めたことが、引き分けまで持ち込めた要因の1つでしょう。フィニッシャーとして抜群の働きだったと言えるはずです。

シュートシチュエーション

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 こぼれ球が最多を記録していることから、嗅覚の鋭さが伺えます。また数値が均等なことから、決まった崩し方があったわけではないようです。レギュラー陣の不在、とりわけ攻撃陣に多かったことが影響しているのかもしれません。

両チームのパスマップ

 それぞれどのようなルートでパスが行われていたかを可視化するため、パスマップを作成しました。前半10~30分後半50~70分までの成功パスに対して集計。表示しているポジションは適当なものになります。

リバプール

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  • リエラ ⇒ カイト ⇒ アルベロアのルートが多い
  • キャラガー ⇒ レイナ ⇒ アッガーのルートが多い
  • トーレスと2列目から前向きのパスが少ない

 まずは、カイトからアルベロアのパスが多いことがわかります。これは、相手ライン間でカイトがボールをおさめ、高い位置に上がったアルベロアへ落とすことが多かったからでしょう。アルベロアからトーレスへのパスが多く、サイドからチャンスメイクしていたことが伺えます。

 次に、キャラガーからレイナへのパスが多いこともわかります。キャラガーが相手からボールを奪い、相手プレスをいなすためレイナへのバックパスが増えたからでしょう。そこからアッガーへ展開するか、前線へフィードを送ることが多かったです。

 2列目より前の選手から、前向きのパスが少ないことも特徴。特にトーレスベナユンはパス数が少ないことからも、彼らが仕掛けたりシュートを撃っていたと予想できます。

アーセナル

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 特に前半ですが、ベントナーやセスクがボールを受け、そこからパスを出すことが多かったです。2トップがこの役割を担っているため、後ろへ下がりビルドアップを助けたことが伺えます。

 また、アルシャビンからのパスが少ないことから、ドリブルでの仕掛けやシュートが多かったことがわかります。実際シュート本数はチーム最多を記録していましたよね。

 後半になると両センターバックからのパス本数が減ったことにも要注目。繋ぐ余裕がなくなり、クリアすることが多くなったことが予想できます。

トーレスへのロングボールについて

 トーレスの強みは、圧倒的なスピードにものを言わせた裏抜けでしょう。この特徴を活かすため、彼へのロングボールはこの試合でも多く見られました。これについて少し見ていきたいと思います。

ロングボールを受けた位置

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  • ピッチ中央付近での競り合いが多い
  • 競り負けている回数が多い

 サイドから抜け出してボールを受けるというよりは、中央付近で競り合った回数が多かったようです。勝率はあまり高くなく、多くの場合で競り負けていたこともわかります。

勝率と空中戦率

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 勝率は30%弱とあまり芳しくなかったことがわかります。また、ほとんどのボールが空中戦だったことがわかります。裏に抜け出してよーいドンをあまりさせてもらえなかったようです。

競り合った相手

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 競り合った相手を見てみると、ほとんどがセンターバックになります。特にシルベストルとの回数が多かった模様。体の強さでは相手の方に分がありますね。それに対して空中戦を強いられていたため、勝率が芳しくなかったように思います。

ロングボールを出した選手

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 ロングボールの出し手に注目してみます。一番多いのはレイナ。キーパーまで下げ、そこから前線へ放り込んでいたことがわかります。キャラガーが続いていることから、前線のターゲットは主にトーレスだったことも伺える。

 また、リエラが次点にランクイン。サイドハーフからのボールが数本あったことから、中盤と最前線までの距離があったことも予想できます。

雑感

ディフェンスラインの高さとFWの脅威

 この試合、サイドへの選手に対して、サイドバックボランチが前に出る。それに加えサイドハーフが下がる。この囲いを作り、ボールを奪い取ろうとすることが散見されました。このとき、ディフェンスラインの高さが両チームで異なっていたのは興味深かったです。

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  • トーレスの裏抜けを警戒して、ディフェンスラインが低い
  • 中盤やサイドバックは前に出ていってしまう
  • ディフェンスラインの前が空くので、カイトがそこに入り込む

 アーセナルのディフェンスラインは低かったです。なぜかと言うと、トーレスの裏抜けを警戒していたからではないでしょうか。こうした効果は、ロングボールの競り合いで空中戦が多かったことに表れています。競り合った勝率もよく、裏抜けに関しては防げていたと言えるのではないでしょうか。

 しかし中盤との距離が空くため、そこを使われる状態に。このシーンではボールを持つリエラを囲うも、間に入ったカイトへ逃がされてしまいます。アーセナルが攻め立てられた要因はここにあると感じました。

 翻って、リバプールは高めのラインを維持できていました。というのも、セスクやベントナーは下がってパスを引き出していたからです。パスマップによく表れていましたよね。そのため、深さを作ることができず、狭いスペースでのサッカーを強いられていました。

 1人で相手センターバックを押し下げるトーレス。後ろに下がるのであまり怖くないベントナーフォワードの脅威が如実に出た試合ではないでしょうか。

過去の試合を見て

 今のサッカーほど配置が重要視されていないことを強く感じました。各所で三角形を作りながらビルドアップするわけではなく、選手のスキルによってボールを前進することが多かったように思います。この時代は組織的な攻めよりも、個人のスーパープレーが主軸だったようです。

 そんな中でもキレイに三角形を作ってビルドアップしているシーンが前半25分ごろに見られました。アーセナルの華麗なパス回し。ご興味があればこのシーンをご覧いただけたらと思います。

 また、現代ほど4局面が目まぐるしく変わることも少ないように感じました。それぞれターン制のような形。これは全体のコンパクトネスに影響されていると思います。今ほど縦横に圧縮してサッカーを行うことは少なかったですしね。こういう背景があったからこそ、個人のスキルを重視する文化だったのではないでしょうか。

【2020 J1 第1節】清水エスパルス vs FC東京

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 スタメン

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清水エスパルス

  • 今季から4-2-1-3のシステムで臨む
  • 新戦力を多く起用

FC東京

  • 今季から4-3-3システムで臨む
  • 小川と阿部が怪我で欠場

昨季とのスタッツ比較

 まだ1試合ですが、昨季とのスタッツを Football LAB より比較してみました。参考程度に見ていきましょう。

清水エスパルス

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  • シュート数、パス数、ドリブル数、ペナルティエリア侵入回数、ボール保持率が増加
  • クリア数が大きく減少

 パス数とボール支配率が大きく上昇していることから、今季の清水はボールを保持するサッカーをしているようです。クリア数が減っているため、後方から丁寧に繋いでいることが伺えます。シュート数やペナルティエリア侵入回数が増加しているので、それが実っていると言えるでしょう。

 また、ドリブル数の増加は、WGを起用することになった影響だと思われます。左右に張り出した彼らの仕掛け頻度が高いのでしょう。

FC東京

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  • グラフの形は概ね同じ
  • パス数とクリア数が減少

 グラフの形は昨季と概ね同じ。清水が相手だったのでボールを握ることができなかった影響もあるでしょう。パス数が減少していることからも、相手に押し込まれていたことが伺えます。

 しかし、クリア数は減少。システム変更により、以前より繋ぐ意識が増したのかもしれませんね。

東京の攻撃

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  • 前線の選手たちは中央に密集する
  • 大外を使うのはSB。特に室屋の上がる頻度が高い

 東京は攻撃時に3トップが内側へ収縮。中央に密集して突破を図ります。空いている大外は後方に控えるサイドバックが駆け上がってきます。清水としては、中央に密集する相手への対応をしなければいけない。そのため、サイドバックを捕まえることは難しく、後手を踏むことが多かったです。

東京の守備性質と穴を突く清水

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  • 東京は人につく意識が高い
  • 清水WGにボールが入ったらSBが出向く
  • CBとの間が空くので、そこを清水SBがインナーラップする

 東京は守備時も4-3-3のままで構えます。それぞれが近くの選手に寄せるマンツーマン志向。相手に当てはめ、各所で1対1を作り出します。

 大外にいる清水ウイングに対しては、サイドバックを出します。そのため、センターバックとの距離が開き、内側にスペースが生まれます。この場面では、奥井がいんらーラップすることで効果的に攻めることができました。

 昨季までの東京は、外側への対応はサイドハーフが行っていました。そのため、後方が横へ広がることは少なかったです。新システムによる守り方の違いが影響しているのでしょうね。

清水の攻撃方法

ティーラシンの落とし

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POINT

後藤が橋本を動かすことで、ティーラシンへのパスコースを空ける

 アンカーである橋本は後藤にマンツーマンで対応。後藤が意識すれば橋本を誘導できる状態です。この場面では、橋本を外側へ引っ張りティーラシンへのパスコースを開通。外側にいる奥井へ落とすことで、局面を一気に前進させます。

 東京の3トップはかわされると戻りが遅いため、この攻め方は効果的でした。前半に何度か見られた光景でしたね。

ボランチのハーフスペース強襲

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  • 三田と橋本を外側へ引っ張る
  • 空いたCB-SB間をボランチが駆け上がる

 外側に三田を引っ張り出し、後藤も移動して橋本を動かす。こうするとペナルティエリア角の前が空くので、ボランチの西村が走り込んでボールを受ける。この場面では、開いている室屋と渡辺の間へドリブルしています。

 似たようなことが別の時間帯にもありました。相手をサイドに寄せたとき、空いたと思ったらそこへ駆けつける。これは清水の強みでしょう。

 また、東京はスローインのときにサイドの選手全員が外側へ寄せるクセがあります。この場面のスローインの再開からでした。無意識的にこの状況が作り出されやすいのでしょう。

東京アンカー脇の攻防

切り替え速度勝負を挑む清水

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  • 清水WGは守備時にボールサイドへ寄る
  • 攻撃になったときに素早くアンカー脇へ侵入し、そこを起点にカウンターを仕掛ける

 清水は守備時、逆サイドのウイングがボールサイドへ寄せます。大体中央レーンくらいですかね。なぜそうしているかというと、東京の穴を突きたいからだと思います。

 東京のインサイドハーフ守備への切り替えが遅い。そのため、橋本の脇にスペースが生まれる。清水からすれば、そこを入口としてカウンターを仕掛けたい。それなら守ってるときからそこへ入り込み、攻撃時に素早く突いてしまえばいい。こうった考えでしょう。

 特に後半はこのエリアを使ってのカウンターが多かったです。東京の攻撃は室屋がいる右サイドからが多かったので、清水の守備は左に寄る。必然的に金子が内側へ入ることが増える。彼を起点としたカウンターは猛威を奮っていました。

東京の布陣変更による対策

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POINT

中央を2人で守れるので、片方が左右に動いても中央封鎖できる

 さすがに泣き所をずっと突かれるわけにもいかない東京は布陣を変えてきます。昨年まで用いていた4-4-2へ移行。中央を締める選手が2人になったので、ハーフスペースが守りやすくなります

 ずっと中央にいることを強制された橋本も、シルバという相方がいるので危ない所のカバーに迎える。この場面では侵入しようとした奥井をレアンドロと共に止めていました。

 中央を固めると左右が空きます。しかしそこの攻防は東京に分がある。前線も強力な4枚を置けるため、攻守においてメリットのある采配だったと思います。

スタッツ

ラッキングデータ

www.jleague.jp

sofascore

www.sofascore.com

SPAIA

spaia.jp

雑感

 東京が布陣を変えるまで清水が試合を支配していました。敵陣深くまで上がることが散見されたボランチは、最初からとばしていましたよね。風向きが変わる60分までに追加点を挙げていれば結果は変わったかもしれません。

 中央を封鎖された場合は、どうしてもサイドからの攻めることになります。東京が強烈な4枚にしたため、ウイングはサイドバックのフォローが期待できない状態。そういった場合に1対1であいてをはがせる選手がいるかどうかは大きいです。恐らく西澤だけなのだと思います。今季彼に懸かる期待は大きくなるでしょう。

 東京はシステムの穴をひたすら突かれていましたが、選手の質が高く、1対1で負けていませんでした。これが1失点に抑えられた要因でしょう。また、攻撃でも質的優位で相手を粉砕していました。今いるメンバーから考えると、オープンな展開に持って行った方が勝点を稼げるかもしれません。

 互いにやり方を大きく変えた今季。今後どうなるか楽しみですね。